ITEM2023 富士フイルム 取材速報
MRIからマンモグラフィ,画像解析技術までグループのシナジーを生かした数多くの新製品を展示
- INFORMATION
- coverage
- REPORT
2023-4-16
4社合同で構成された富士フイルムグループブース
富士フイルムグループは,昨年同様に富士フイルム(株),富士フイルムメディカル(株),富士フイルムヘルスケア(株),富士フイルム医療ソリューションズ(株)の4社の合同ブースで出展し,展示ホールCからDにまたがる1200m2で展示を行った。ITEM2023では,ブース内をA(X線撮影システム)からL(医療クラウドソリューション)まで12の製品・ソリューション群でカテゴライズして展示した。2023年4月5日(水)に行われた新製品発表会で富士フイルム(株)執行役員でメディカルシステム事業部長の秋山雅孝氏が「クロスセル(富士フイルムグループ間での製品の相互販売)で売上高が倍増した」とコメントしたが,富士フイルムグループが一体となって医療・ヘルスケア領域の事業を展開する姿勢が感じられるブース構成となっていた。今年は例年以上にITEM2023に合わせて数多くの新製品が発表されたこともあって,ブース内では新しい製品のコンセプトや有用性の説明に耳を傾ける来場者で終日混雑した。
●MRI
MRIでは,一足先にRSNA2022の会場でアンベールされITEM直前に発売された1.5Tの「ECHELON Synergy」(富士フイルムヘルスケア)が展示された。検査時のポジショニングをワンタップでサポートする機能,新開発のFlexFitコイル,AI技術で開発されたノイズ低減などを特長として検査の高速化,高画質化,ワークフローの向上を実現する。展示では片手でセッティングできる頭部コイル「FlexFit Neuro Coil」などの新開発のコイルや,任意の映像を投影できるようにしたMRIボア内映像投影システム「Smart Theatre」の新機能などが紹介された。また,高画質化,高速撮像などの効果についても画像を交えてアピールした。
●CT
CTでは,64列のマルチスライスCTシステム「SCENARIA View Plus」(富士フイルムヘルスケア)を展示し,AI技術を用いた検査ワークフローの改善技術をアピールした。カメラで撮影された映像を元に患者を認識し,ワンボタンで寝台が移動して最適な撮影位置にセッティングする。寝台の上下,頭足方向だけでなく横方向のズレも自動で修正する。撮影されたスキャノグラムを元に自動で位置決めを行い撮影ができ撮影のワークフローの改善が期待できる。また,撮影画像を画像処理ワークステーション「SYNAPSE VINCENT Core」に転送することで,頭部の低吸収域の自動認識,胸部の肺結節の抽出などが可能な機能も紹介した。
●X線
ITEM2023の直前に発表された透視機能付きX線画像診断システム「CALNEO Beyond」(富士フイルムヘルスケア)を初展示。富士フイルムのデジタルラジオグラフィ「FUJIFILM DR CALNEO Flow」と富士フイルムヘルスケアのX線撮影装置システムを組み合わせて構成された両社のシナジーから生まれた製品だ。1台でX線透視撮影と一般X線撮影を可能にして医療機関のニーズに柔軟に対応できる。立位での透視撮影への対応,AI技術を活用したポジショニングナビ機能を搭載するなど日々の撮影業務をサポートできることをアピールした。
●超音波
超音波診断装置では,2022年に発表されたAI技術を活用したノイズ除去技術“DeepInsight”を搭載した「ARIETTA DeepInsight」のラインアップに,新たにハイエンドモデルの「ARIETTA 750 DeepInsight」(富士フイルムヘルスケア)が加わった。DeepInsightは,信号とノイズを高精度に区別してノイズだけを効果的に抑制して高画質化を実現する。浅部から深部までのフルフォーカスを実現する「eFocusing」技術を搭載し,最上位機種の「ARIETTA 850 DeepInsight」では,AI技術を用いた画像認識技術で乳腺の検出支援を行う「eScreening」機能を搭載する。
●マンモグラフィ
デジタルマンモグラフィシステムの最上位機種となる「AMULET SOPHINITY」(富士フイルムメディカル)を展示した。AMULET SOPHINITYは,「AMULET Innovality」で培ってきたHCP(Hexagonal Close Pattern)構造TFTパネルを採用した直接変換型FPDなどのハードウエアをブラッシュアップし,新たにAI技術を活用して開発したプロジェクション機能「Positioning MAP」,「ポジショニング解析機能」を搭載して撮影者の高い技能や手間が必要だった検査時のポジショニングをサポートする。また,AMULET Innovalityで好評だった圧迫自動減圧制御機能の“なごむね”が標準搭載となった。富士フイルムでは,新たにWomen’s Healthソリューションの新ブランド「INNOMUSE(イノミューズ)」を立ち上げ,グループ全体で女性の健康や医療に取り組むが,AMULET SOPHINITYはその中核となることを展示で示した。
●PACS
AIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」(富士フイルムメディカル)は,最新のVer.2.2の機能を紹介した。最新バージョンでは,臓器認識/SAIフィルタの対象臓器の拡大と非造影画像への対応が図られており,頭部では頭蓋内の低吸収域や高吸収域についてSAIフィルタで可視化して診断をサポートするほか,EvansIndexの自動計測なども提供する。また,腹部大動脈の最大短径自動計測は腹部CT画像から大動脈短径が最大になるスライスを自動で計測し,定量的な診断をサポートする。臓器認識や自動計測,スマート定型文などを利用した所見作成支援の機能も対象領域を拡大しており,読影負担を軽減する機能が拡充されていることをアピールした。
●画像解析
3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」(富士フイルムメディカル)では,新たに搭載された「直腸解析」,「QSM(Quantitative Susceptibility Mapping:定量的磁化率マッピング)解析」のアプリケーションを紹介した。直腸解析では,非造影MR画像から関心領域(腫瘍など)と周辺臓器の位置関係を3Dで表示して手術を支援する。精度の高い臓器認識技術で神経や血管をセグメンテーションでき,より正確なプラン作成ができる。また,QSM解析は富士フイルムヘルスケアが長年開発してきた技術をSYNAPSE VINCENTに搭載したもので,脳区域解析と組み合わせて区域ごとのQSM値を表示することも可能となっており両社のシナジーの一つの成果とも言えるだろう。
●放射線情報システム
富士フイルム医療ソリューションズは,放射線部門業務システム「RADISTA Workflow」を展示した。RADISTAは,2022年10月に富士フイルム(株)が放射線部門業務支援ソリューションブランドとして新たに立ち上げた。RADISTA Workflowは,その第1弾となるソリューションで放射線情報システム(RIS)をアップデートし,より高度なレベルで検査や業務を支援する。画面デザインやレイアウトを一新し,視認性と操作性を高めた。また,既読管理も可能な端末間メッセージ機能や掲示板機能などコミュニケーションを円滑にする機能を搭載しているのも特徴だ。
●レポート
富士フイルム医療ソリューションズのレポートシステム「ShadeQuest/Report」では,安全で確実な読影環境のためのさまざまなサポート機能,働き方改革を支援する機能,教育や研修のための機能などが追加された。遠隔読影依頼は,レポートシステム内から直接遠隔読影サービスへの依頼を行えるようにしたもの。遠隔の依頼の進捗状況なども管理でき,読影結果は内部のレポートと同様に扱うことができる。自動割振機能は,当日の画像検査を登録した読影医に自動で割り振る機能で読影業務の片寄りや割り振りの手間を削減する。
●お問い合わせ先
社名:富士フイルムメディカル株式会社 営業本部マーケティング部
住所:〒106-0031 東京都港区西麻布2-26-30 富士フイルム西麻布ビル
mail:[email protected]
URL:http://fms.fujifilm.co.jp/
●お問い合わせ先
社名:富士フイルムヘルスケア株式会社
住所:〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-3
mail:[email protected]
URL:https://www.fujifilm.com/fhc/ja
●お問い合わせ先
社名:富士フイルム医療ソリューションズ株式会社
住所:〒106-0031 東京都港区西麻布2-26-30 富士フイルム西麻布ビル
TEL:03-6452-6880
URL:https://www.fujifilm.com/ffms/ja