富士フイルムホールディングス,2030年に向け,企業価値をさらに高める新中期経営計画「VISION2030」を発表
2024-4-18
新中期経営計画「VISION2030」を発表
富士フイルムホールディングス(株)は,2030年に向けた新たな中期経営計画「VISION2030」の説明会を2024年4月17日(水),本社にて開催した。説明会には,同社代表取締役社長・CEO後藤禎一氏,取締役・CFO樋口昌之氏,同取締役,富士フイルムビジネスイノベーション(株)代表取締役社長・CEOの浜 直樹氏,同取締役・執行役員コーポレートコミュニケーション部長兼ESG推進部長の吉澤ちさと氏,富士フイルム(株)執行役員ライフサイエンス戦略本部長兼バイオCDMO事業部長の飯田年久氏が出席した。
はじめに後藤氏が,2024年3月に終了した前中期経営計画「VISION2023」の振り返りとVISION2030の概要説明を行った。後藤氏は,最初に富士フイルムが90周年の節目を迎えるに当たって新たなパーパス「地球上の笑顔の回数を増やしていく。」を定めたことを紹介した。後藤氏は,「100周年とさらにその先の未来においても,富士フイルムグループが社会にイノベーティブな価値を提供し続け持続的に成長していくために,その原動力として従業員がアスピレーション(志)を持ってグループパーパスの実現をめざす」と述べた。
前中期経営計画のVISION2023は,ヘルスケアや高機能材料の成長加速などを受けて好調に推移し,目標とした売上高,営業利益などは1年前倒しで2022年度に達成,2023年度には過去最高を更新する見込みとなっている。2023年度3月期業績予想は,ヘルスケア部門のメディカルシステム事業などの販売好調を受け,売上高の上方修正を行ったと報告した。同期のヘルスケア事業の売上高予想は9750億円,営業利益970億円,営業利益率9.9%となっている。後藤氏は説明の中で,「ヘルスケアや電子材料に対する積極的な投資で事業基盤構築を着実に進め,イメージングの収益を大きく拡大させて成長軌道に乗せることができた。一方で,市況などの環境変化へのレジリエンスを強化することで,各事業の収益性を向上させることが課題である」と述べた。
新中期経営計画であるVISION2030は,2030年のあるべき姿を「収益性と資本効率を重視した経営により富士フイルムグループの企業価値を高めて,世界トップティアの事業集合体として世界を一つずつ変え,さまざまなステークホルダーの価値を生み出す企業と定めた」(後藤氏)。その実現のための重点項目として,1) 成長投資と収益性重視,2) 資本効率の向上,3) 研究開発マネジメント,4) 投資リターンの確実な創出の4つを示した。この中で,4)の項目の中で,「買収した医療画像診断事業の収益刈り取りとプロセスケニカル事業のシナジー創出」が挙げられている。VISION2030の事業ポートフォリオマネジメントでは,市場の魅力度と自社の収益性の2軸で事業ポートフォリオを管理しており,後藤氏は安定的で同社が高い競争力を持つ基盤事業を成長事業と位置づけ,この事業で獲得した経営資源を,中期的に成長牽引する成長事業の体質強化や成長が期待される新規次世代事業への投資を行っていくと述べた。経営目標として,2026年度までの3年間で売上高3兆4500億円,営業利益3600億円をめざすとし,最終年度の2030年度の目標として売上高4兆円,営業利益率15%以上をめざすとした。
続いて財務資本戦略を説明した樋口氏は,ヘルスケア,エレクトロニクス,ビジネスイノベーション,イメージングの事業別戦略について概説した。ヘルスケアでは,メディカルシステム,バイオCDMO,ライフサイエンスについての基本戦略とアクションの中でメディカルシステムでは,1) 幅広い医療機器ラインアップ×AI/IT技術の深化によるプレゼンスの向上,2) AI/ITを活用したリカーリングビジネスの拡大,3) 健診領域,健診ビジネスの加速を挙げた。1)では,機器単体ではなくAI/ITやそのほかの機器との連携したソリューション提案による差別化,2) では次期3年はリカーリング(従量課金)ビジネスの基盤に必要な各種モダリティのIT化加速と市場シェア拡大に注力,3)では健診センター「NURA」の新興国を中心にした拡大(世界100拠点目標)をめざすとした。
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富士フイルムホールディングス(株)
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