AIメディカルサービス,早期胃がん特化型AI搭載の内視鏡画像診断ソフトウエアを発売
エルピクセルと提携し上部・下部消化管に対応するAIソフトウエアをトータルで提供へ
2024-3-5
内視鏡画像診断支援ソフトウエア
「gastroAI-model G」のAI解析表示
(株)AIメディカルサービスは,2024年3月4日(月)に人工知能(AI)を搭載した内視鏡画像診断支援ソフトウエア「gastroAI-model G」を発売した。gastroAI-model Gは,内視鏡検査中に肉眼的特徴から生検などの追加検査を検討すべき病変候補を検出,医師の診断支援を行うAIソフトウエアで,消化器の中でも早期胃がん疑い病変の検出支援に特化し,早期胃がんの見逃し低減をめざす。また,診断支援AIを提供するエルピクセル(株)と業務提携契約を締結し,エルピクセルの大腸内視鏡画像診断支援ソフトウエア「EIRL Colon Polyp」をAIメディカルサービスが販売することも発表された。これにより,AIメディカルサービスはgastroAI-model Gと併せて上部・下部消化管に対応した内視鏡画像診断支援AIをトータルで提供していく。発売当日の3月4日にはKPP八重洲ビル(東京都中央区)で記者発表会が行われ,gastroAI-model Gの性能がデモンストレーションを交えて紹介されたほか,エルピクセルの代表取締役CEOである鎌田富久氏も登壇し,業務提携の狙いや展望などを述べた。
記者発表会では,AIメディカルサービスの創業者で代表取締役CEOの多田智裕氏が登壇し,同社のこれまでの歩みやgastroAI-model Gの承認に至るまでの経緯を紹介した。多田氏は,胃がんや食道がんはステージ1などの早期発見例では5年生存率が高いことを挙げ,「がんの早期発見」が社会課題であると指摘した。また,今回のgastroAI-model Gの上市について,出資者や医療AIの開発に重要なデータを提供した国内外の100を超える医療施設への感謝を述べた。さらに,医療AIの市場規模は2030年には約26兆円に急拡大することが予測され,同社も機能や対象器官の拡大,海外進出などで事業拡大をめざすとし,2024年2月19日付けでシンガポールで胃がん鑑別支援AIソフトウエアの機器登録手続きを完了したことなどを発表した。
続いて,同社国内事業責任者の成毛雅貴氏がgastroAI-model Gの概要について説明した。gastroAI-model Gは,既存の内視鏡システムの標準端子にケーブルをつなぐだけで使用でき,複数メーカーの内視鏡装置に対応可能である。検査中,内視鏡医が腫瘍性を疑う病変を見つけてフリーズ操作を行うとAIが解析を開始。モニタに生検などの追加検査を検討すべき病変候補であることを示す「Consider biopsy」とそれ以外の「Low Confidence」のいずれかの解析結果が表示され,医師はその結果を踏まえて診断を行う。成毛氏は,内視鏡AI併用により期待できる効果として,診断の確信度向上による医師の心身的負担の軽減や医療の質の均てん化を挙げ,今後の展開として食道や大腸など診断サポート範囲の拡充や即時複数箇所の検出機能,動画でのリアルタイム解析などの機能拡充計画を示した。また,国内での販売にあたっては,これまでの共同研究ネットワークなどを軸とするKOL(Key Opinion Leader)関連施設への導入から関連施設への拡大を図っていく。なお,gastroAI-model Gは保険未収載で,当初は初期導入費用約100万円,年間利用料約240万円の年間契約で提供する。
最後に,エルピクセル代表取締役CEOの鎌田氏が登壇し,今回の提携の背景や展望などについて紹介した。エルピクセルは,独自のAIアルゴリズムを用いた医用画像診断支援技術「EIRL」を脳動脈瘤や肺結節候補領域の検出など幅広い領域で提供しており,導入施設数は630施設(2023年12月時点)に上る。今回の提携により,同社の大腸ポリープ候補を検出する医用画像解析ソフトウエアEIRL Colon PolypがAIメディカルサービスにライセンス提供され,AIメディカルサービスは上部・下部消化管に対応した内視鏡画像診断支援AIをトータルサポートで提供することが可能になる。なお,エルピクセルは,AIメディカルサービスの販売をサポートする。鎌田氏は,今回の提携はエルピクセルにとっても戦略的に意義があるとした上で,「スタートアップ企業同士が協力し,市場開拓に取り組んでいきたい」との姿勢を示した。
●問い合わせ先
(株)AIメディカルサービス
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