キヤノンメディカルシステムズとオリンパス,超音波内視鏡システムの協業に関する記者会見開催
2024-1-18
超音波内視鏡システムでの協業をアピールする
キヤノンメディカルシステムズの瀧口氏(右)と
オリンパスのドレバロウスキー氏(左)
キヤノンメディカルシステムズ(株)とオリンパス(株)は,超音波内視鏡システムで協業に合意し2024年1月15日(月)に記者会見を行った。超音波内視鏡検査(Endoscopic Ultrasonography:EUS)で使用する超音波診断装置をキヤノンメディカルシステムズが開発,製造し,オリンパスが販売する。会見には,キヤノンメディカルシステムズから代表取締役社長の瀧口登志夫氏と超音波事業部事業部長の佐野昭洋氏,オリンパスから最高内視鏡事業責任者のフランク・ドレバロウスキー氏と内視鏡事業担当役員の河野裕宣氏が出席し,協業の概要と今後の事業の展開などを説明した。
瀧口氏は会見で,「今回のオリンパスとの協業で、われわれがこれまで手がけてこなかったEUS領域において,キヤノンメディカルシステムズが持つ最新技術を提供することができる。新たな領域での知見を取り入れることで,われわれの超音波診断の技術が向上し、さらなる医療への貢献を果たすことができるのではと期待している。」と述べた。ドレバロウスキー氏は,「オリンパスは消化器内視鏡分野において全世界で70%を超えるシェアを誇るが,それは同時に常に新たなイノベーションや画像診断能の向上が求められている。膵臓がんや胆道疾患では早期発見が重要であり,そのためにEUSの技術開発にも取り組んできた。今回のキヤノンメディカルシステムズとの協業によって,新たな製品やソリューションを提供して患者にとって最善のケアにつなげられることを期待している」と述べた。両社の協業による製品展開は,欧州では3月から,国内では6月からの販売スタートを予定している。会見では、オリンパスの消化器内視鏡システムとキヤノンメディカルシステムズの超音波診断装置「Aplio i800 EUS」を接続したデモンストレーションも行われた。
EUSは,スコープの先端に超音波探触子を内蔵したスコープを使用する超音波内視鏡と超音波診断装置を組み合わせたシステムだ。超音波を使った画像診断からスタートしたEUSは,現在は穿刺による病理診断,さらには「Interventional EUS」と呼ばれる超音波内視鏡下での治療にまで発展している。オリンパスでは、EUS領域のプローブとして診断用の電子ラジアルタイプ,診断から生検,治療に汎用的に使用できるコンベックスタイプ,Interventional EUSに特化した直視コンベックスなどを提供している。消化器の胆道や膵臓領域の疾患は,体外からのアプローチでは発見や処置が難しく,EUSを用いた画像診断やInterventional EUSによる手技の進展が期待される。オリンパスはEUSを画像化する超音波診断装置では,これまでキヤノンメディカルシステムズとは別のパートナーと事業を展開してきたが,河野氏は「EUSが多様化,高度化する中で,今後10年の技術の進歩や事業の展開を見据えたときに,超音波の画像処理で高い技術力を持つキヤノンメディカルシステムズがベストパートナーだと判断して協業に至った」と今回の経緯を説明した。
キヤノンメディカルシステムズは,CTやMRIと同様に超音波診断装置についても高画質技術にこだわって開発を進めてきた。画質向上技術である「Differential THI(D-THI)」や,低流速の血流の描出に優れた血流イメージング技術「Superb Micro-vascular Imaging(SMI)」,超音波周波数依存減衰を測定するアプリケーション「ATI(Attenuation Imaging)」,腫瘍の硬さを画像化する「Shear Wave Elastography(SWE)」など独自の画像技術を持つが,今回,それらの技術を搭載してEUS向けに新たに開発した「Aplio i800 EUS」を発売する。オリンパスの超音波内視鏡システムと接続することで,高精細画像の表示やSMIによる血流の把握などが可能になり,EUSに新たな知見がもたらされることが期待される。佐野氏はオリンパスとの協業について,「膵がんの早期発見は体外からのアプローチでは限界があり,臓器に近いところから診断できるEUSは双方の技術のシナジーを最も発揮できる領域だと期待している」と述べた。
●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon
オリンパス(株)
https://www.olympus.co.jp
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