バリアンメディカルシステムズ,脳腫瘍の放射線治療における最新治療法を報告するプレスセミナーを開催

2021-3-25

バリアンメディカルシステムズ

放射線治療


福島権一氏(専務執行役員)

福島権一氏(専務執行役員)

(株)バリアンメディカルシステムズは2021年3月24日(水),大手町サンケイプラザ(東京都千代田区)において,プレスセミナー「脳腫瘍に関する放射線治療の実態と現状・最新治療法について」を開催した。本セミナーは,オンライン視聴も可能なハイブリッド形式で行われた。

脳腫瘍のうち,転移性脳腫瘍に対する放射線治療は全脳照射が歴史的に標準治療として行われてきたが,画像で視認できない微小な転移などを制御できる一方,治療に起因する晩期放射線障害が報告されるようになり,近年では複数個の転移病巣1つ1つに照射を行う定位放射線治療 / 定位手術的照射(SRT / SRS)が行われるようになっている。本セミナーでは,このSRT / SRSを短時間で効率的に実施可能なソリューションである“HyperArc”の有用性が報告された。

冒頭,同社専務執行役員の福島権一氏が,同社の創業から現在に至る歴史や製品の開発状況,放射線治療の進化などについて紹介した。2019年時点において,同社の放射線治療装置の納入実績は全世界で8000台以上に上り,400万人以上の患者の治療に貢献している。日本においても約600台を納入し,放射線治療装置のシェアの半数以上を占める。福島氏は,「当社は高精度放射線治療の開発においても世界をリードしており,これまでもマルチモダリティによるアプローチでがん医療を支援してきた。さらに今後は,人工知能(AI)の活用などにより治療全体の標準化・効率化をはかるとともに,“A world without fear of cancer(がんの脅威に負けない世界)”の実現をめざしていきたい」と述べた。

続いて,2名の演者が講演を行った。北海道大学大学院医学研究院放射線治療学教室教授の青山英史氏は,「転移性脳腫瘍の放射線治療」と題して講演した。青山氏は,転移性脳腫瘍に対する全脳照射とSRT / SRSそれぞれの特長と課題を臨床試験の結果などを踏まえて報告。なかでも,SRT / SRSは,複数の転移病変に1つずつ照射を行うと治療に長時間を要することが大きな課題の一つである。それを解決する新技術が,シングルアイソセンタでのノンコプラナー照射によって複数病変を一度に治療可能なHyperArcであると述べた。HyperArcでは,10個程度の病変の治療を約30分で行うことができる。実際に,セミナー当日に同大学にて行われたHyperArcによる第一例目の症例においても,非常に短時間で実施できたとの報告を受けたことが紹介された。

青山英史氏(北海道大学)

青山英史氏(北海道大学)

 

続いて,大阪国際がんセンター放射線腫瘍科主任部長の手島昭樹氏が,「汎用型リニアックにおける新しいSRS・SRTシステム」と題してオンラインで講演した。同センターでは,2019年にHyperArcによる第一例目を実施以降,2021年1月までに418症例に対してHyperArcでの治療を行っている。講演では,HyperArcを用いた治療について映像を交えて具体的に説明。1mm以内の位置精度で,小さな腫瘍に対してもピンポイントの治療が可能であると紹介した。また,同院ではHyperArcを導入後,SRS・SRTの実施件数が大幅に増加している。その理由として,複数病変を一度に治療できるため治療が短時間ですむことや,複数病変に対しても治療計画は1つですむため,ワークフローの効率化が図られていることを挙げた。さらに,HyperArcでは,脳の正常部位への線量が有意に低減できることから,患者にやさしい治療であることが強調された。

手島昭樹氏(大阪国際がんセンター)

手島昭樹氏(大阪国際がんセンター)

 

なお,本セミナーの冒頭,同社の最新のAIを取り入れた適応放射線治療ソリューションである「ETHOS(イーソス)」が,3月18日(木)に薬機法承認を取得したことがアナウンスされた。

 

●問い合わせ先
(株)バリアン メディカル システムズ
マーケティング部
Email: [email protected]
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