キヤノンメディカルシステムズ,「画論 28th The Best Image」をオンラインで開催

2020-12-24

キヤノンメディカルシステムズ


審査から発表式まですべてオンラインで開催

審査から発表式まですべてオンラインで開催

キヤノンメディカルシステムズ(株)は,2020年12月20日(日)13時より,「画論 28th The Best Image」をオンラインで開催した。当日は,各部門に分かれた最終審査のプレゼンテーション,特別講演,発表式がすべてオンラインで行われた。冒頭に挨拶した画論実行委員長(国内営業本部クリニカル営業推進部部長)の保坂健一氏は,「今年の画論は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いが日々続き,開催が危ぶまれる中で企画が進められた。それだけに,今日,こうして開会の挨拶ができるだけで大変うれしく感じている。今回は審査,プレゼンテーションから発表式までリモートとなり例年とは異なる環境となるが,運営にかかわるすべての方々の記憶に残る画論になると確信している」と述べた。

保坂健一 氏(画論実行委員長/国内営業本部クリニカル営業推進部部長)

保坂健一 氏
(画論実行委員長/国内営業本部クリニカル営業推進部部長)

 

発表会の最後に挨拶した同社代表取締役社長の瀧口登志夫氏は,今回の画論28th The Best Imageの参加者に向けて,「われわれの装置やシステムを最大限に活用して,日常診療の中で不断の努力や研鑽,創意工夫を続けていることに最大限の敬意を表したい。今日の成果を,多くの患者さんにお使いいただけるように広く世界に発信していきたい」と述べた。さらに,キヤノンメディカルシステムズとしてCOVID-19に向けた技術として,蛍光LAMP法を用いた試薬の開発,抗原定性検査キット「Rapiim SARS-CoV-2-N」の発売,感染症対策医療コンテナCTの製品化などを紹介し,「医療の最前線で日夜奮闘されている医療従事者の皆様に心から感謝し,これらのソリューションの提供で少しでもお役に立ちたい」とコメントした。その上で,厳しい状況が続く中でも「医療の進化に貢献する活動を止めるわけにはいかない」として,新たな取り組みのトピックスとしてMRIの磁石を内製化し,12月から自社製の磁石を搭載したMRIシステムの出荷を開始したことを紹介した。瀧口氏は,「これからの画像診断の発展を支え続けることを会社として将来に向けたコミットメントとして考えている。さらなる支援をお願いしたい」と結んだ。

瀧口登志夫 氏(代表取締役社長)

瀧口登志夫 氏(代表取締役社長)

 

特別講演は,“AIによる医療情報分析”をテーマに2演題が行われた。
最初に,杏林大学医学部脳卒中医学講師の河野浩之氏が,「最新画像診断が支援する急性期脳梗塞診療」を講演した。河野氏は,急性期脳梗塞治療の進歩を振り返り,アルテプラーゼ(tPA)が脳梗塞治療薬として認可された2004年(日本では2005年)以降,血栓溶解療法(tPA静注)と血栓回収療法に治療法が大きく変化したことを紹介した。そして,多くの大規模スタディが行われる中で,治療選択の判断が時間基準から,救済可能な虚血領域(ペナンブラ)を確認する脳画像基準に変わってきており,画像診断の役割が重要になったと述べた。治療効果を左右する虚血コアとペナンブラの大きさの確認には灌流画像が有用だが,杏林大学ではスピードを優先して2019年からCTファーストの運用を行っている。それによって,従来のMRIでは治療開始まで1時間要していたが,30〜40分に短縮された。また,灌流画像についてはVitreaのベイズ推定法による解析で虚血コアとペナンブラを表示するサマリーマップを含めて約10分で行えることを紹介した。最後に,河野氏はAIを活用したキヤノンメディカルシステムズの「Abierto Reading Support Solution」による全自動解析の有用性について,これからの期待を含めて言及した。

河野浩之 氏(杏林大学)

河野浩之 氏(杏林大学)

 

続いて,慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授の宮田裕章氏が,「ニューノーマルの先にある社会とヘルスケア」と題して講演した。宮田氏は,COVID-19拡大で日本がデジタル後進国であることを痛感したとして,マスクの供給問題を例にデータ活用の重要性を説明した。その上で,宮田氏が行ったCOVID-19への取り組みとして,Googleから提供されたデータに基づく行動分析や,LINEとAWSと協力した「新型コロナ対策のための全国調査」などの成果を紹介し,データを蓄積し分析して予測することが重要だと述べた。さらに,デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めることが重要だとして,DX先進国である中国の事例として銀行以外の取引データから与信を行う“信用中国”の事例や,生命保険契約後もアプリを活用して生活にコミットすることで成長した“平安保険”などの例を挙げ,データから生まれる価値と新しい世界の可能性に言及した。新しい“データ駆動型社会”ではデータが新たな資源となるが,石油とは異なりデータは使ってもなくならないことから競争から共有が中心の“価値共創社会”に移行していることを紹介した。宮田氏は,ヘルスケア領域で個人を軸にした健康医療情報の活用を実現する“PeOPLe(Person-centered Open Platform for Wellbeing)”などのプロジェクトを進めているが,コロナ禍を超えて新しい未来を実現するための取り組みを続けていくとまとめた。

宮田裕章 氏(慶應義塾大学)

宮田裕章 氏(慶應義塾大学)

 

今年の“画論The Best Image”には,全国から407件の応募があり,その中から56の上位入賞施設が最終審査に進み,CT5部門,MR4部門,超音波は4部門でプレゼンテーションと審査が行われた。
オンラインでの最終審査発表式は,審査員からの最優秀賞の発表と講評,受賞者からのコメントの順で進められた。各部門の審査員と受賞施設は以下の通りとなっている。

〈CT部門〉
【審査員】

興梠征典 氏(産業医科大学)
粟井和夫 氏(広島大学)
吉岡邦浩 氏(岩手医科大学)
陣崎雅弘 氏(慶應義塾大学)
辻岡勝美 氏(藤田医科大学)
中屋良宏 氏(東洋公衆衛生学院)
山口隆義 氏(華岡青洲記念病院)

【受賞施設】

●1〜160列部門

【最優秀賞】
医療法人社団高邦会 福岡山王病院
「アキレス腱断裂術後の腓腹神経障害」

【テクニカル賞】
鹿児島厚生連病院
「肺がん疑い」

【優秀賞】
独立行政法人地域医療機能推進機構 九州病院
「高精度フュージョンCT Urography ~腹腔鏡下子宮全摘術前シミュレーション~」

●1〜160列(心血管)部門

【最優秀賞】
該当なし

【テクニカル賞】
社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 海老名総合病院
「体循環と肺循環が絡んだ動静脈瘻(マイクロカテーテルを用いた選択的動注造影)」

【優秀賞】
医療法人社団王子会 神戸循環器クリニック
「乳房再建における下腹壁穿通枝動脈同定のためのsubtraction画像」
地方独立行政法人 佐賀県医療センター好生館
「総腸骨動脈瘤破裂」

●Aquilion ONE部門

【最優秀賞】
医療法人社団豊智会 AIC画像検査センター筑波大学附属病院
「縦隔リンパ節腫大に対する気管支鏡下生検術前支援画像」

【テクニカル賞】
公立陶生病院
「肺癌」
国家公務員共済組合連合会 舞鶴共済病院
「児頭骨盤不均衡」

【優秀賞】
国家公務員共済組合連合会 佐世保共済病院
「右肘関節痛風結節」
岩手医科大学附属病院
「新生児慢性肺疾患」
社会医療法人社団慈生会 等潤病院
「感染症疑い患者に対する感染症対策を考慮した胸部CT撮影法」

●Aquilion ONE(心血管)部門

【最優秀賞】
社会福祉法人 三井記念病院
「造影CTによる左心耳閉鎖術(LAAC)の術前評価 - sheath fusion -」

【テクニカル賞】
医療法人春林会 華岡青洲記念病院
「冠静脈洞 - 左房交通症」

【優秀賞】
医療法人社団千栄会 高瀬クリニック
「心電図非同期再構成とFBPがペースメーカー挿入患者の冠動脈CTAに有用だった一例」
新潟大学医歯学総合病院
「platypnea-orthodeoxia syndrome(POS)」
社会医療法人北九州病院 北九州総合病院
「左手部動脈閉塞症」
順天堂大学医学部附属順天堂医院
「胸部蔓状血管腫」
医療法人徳洲会 松原徳洲会病院
「EVAR術前における超低線量(腹部単純レントゲンと同等)腹部大動脈造影CT」

●Aquilion Precision部門

【最優秀賞】
該当なし

【テクニカル賞】
岩手医科大学附属病院
「左手2, 3, 4 指化学外傷」

【優秀賞】
藤田医科大学病院
「rt. TS-SS dAVF Borden type1」

〈MR部門〉
【審査員】

阿部 修 氏(東京大学)
伊東克能 氏(山口大学)
横山健一 氏(杏林大学)
小林邦典 氏(杏林大学)
小野 敦 氏(川崎医療福祉大学)
和田博文 氏(済生会熊本病院)

【受賞施設】

●1.5テスラ以下(脳神経)部門
【最優秀賞】
KKR札幌医療センター
「待ち時間にMTC pulseを追加することで撮像時間延長なしにコントラスト向上」

【テクニカル賞】
金沢医科大学病院
「脳室拡大精査(FLAIR Time-SLIP CSFシネ)」

【優秀賞】
金沢医科大学病院
「右内頚動脈海綿静脈洞瘻(Direct CCF)」

●1.5テスラ以下部門

【最優秀賞】
社会福祉法人 三井記念病院
「単純MRIを用いた左心耳閉鎖術(LAAC)の術前評価」

【テクニカル賞】
金沢医科大学病院
「胎児骨盤内腫瘤(出血疑い)」

【優秀賞】
大分県厚生連 鶴見病院
「左頚動脈ステント留置後」
社会医療法人川島会 川島病院
「FE3Dシーケンスを用いた非同期非造影MRI検査による透析患者鎖骨下病変の描出」
藤田医科大学岡崎医療センター
「中部食道癌T4bN1M0」
藤田医科大学ばんたね病院
「AiCEを用いたBreath Hold 3D MRCP」
地方独立行政法人 北松中央病院
「内シャント狭窄」

●3テスラ(脳神経)部門

【最優秀賞】
自治医科大学附属さいたま医療センター
「左内頚動脈瘤に対するフローダイバーターステント留置後」

【テクニカル賞】
杏林大学医学部付属病院
「右前頭葉乏突起神経膠腫」

●3テスラ部門

【最優秀賞】
杏林大学医学部付属病院
「多発膀胱がんに対する3DT2WIの有用性」

【テクニカル賞】
順天堂大学医学部附属順天堂医院
「肺動静脈奇形」

【優秀賞】
地域医療支援病院オープンシステム 徳山医師会病院
「左大腿骨内顆骨頭壊死(MR Bone Image法)」
医療法人同信会 福岡整形外科病院
「TFCC損傷」

●Clinical Update賞

医療法人友紘会 友紘会総合病院
「右腕頭動脈起始部狭窄および弓後部プラーク」
医療法人 住友別子病院
「3DSSFPによる息止めMRCP検査」

〈超音波部門〉
【審査員】

松尾 汎 氏(松尾クリニック/藤田医科大学)
濵口浩敏 氏(北播磨総合医療センター)
伊藤 浩 氏(岡山大学)
瀬尾由広 氏(名古屋市立大学)
平井都始子 氏(奈良県立医科大学附属病院)
何森亜由美 氏(高松平和病院)
畠 二郎 氏(川崎医科大学)
岡庭信司 氏(飯田市立病院)
小川眞広 氏(日本大学病院)

【受賞施設】

●血管部門

【最優秀賞】
茨城県立こども病院
「超音波検査で非侵襲的に診断することができた肺分画症の超早産児例」

【優秀賞】
国家公務員共済組合連合会 横浜南共済病院
「上腸間膜静脈血栓症」
飯田市立病院
「中心静脈カテーテル抜去後に生じた医原性仮性動脈瘤」
社会福祉法人恩賜財団 済生会熊本病院
「腹部大動脈から下腸間膜動脈に連続するマントルサインを契機にIgG4関連疾患が疑われた1例」

●心臓部門

【最優秀賞】
国立研究開発法人 国立循環器病研究センター
「AV discordanceを伴った両大血管右室起始症(DORV)」

【優秀賞】
医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院
「コロナを合併したPTEと肺動脈瘤」
社会福祉法人恩賜財団 済生会支部神奈川県済生会横浜市東部病院
「ガス様エコーを伴う心膜液貯留」
兵庫県立姫路循環器病センター
「3D画像解析で大動脈弁の詳細な観察が可能であった大動脈弁閉鎖不全症」

●腹部部門

【最優秀賞】
岩手医科大学附属病院
「肝細胞癌」

【優秀賞】
ハッピー胃腸クリニック
「クリニックでのPOCUSにて診断された孤立性上腸間膜動脈解離」
前橋赤十字病院
「胆嚢十二指腸瘻」
地方独立行政法人 筑後市立病院
「腸重積を伴った小腸神経鞘腫の1例」
地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター
「新生児肝巨大先天性血管腫」

●乳腺・甲状腺・表在部門

【最優秀賞】
該当なし

【優秀賞】
兵庫県立がんセンター
「真皮型異型平滑筋腫瘍の一例」
社会医療法人三栄会 中央林間病院
「孤立性神経線維腫」
聖マリアンナ医科大学病院
「経口腔咽頭超音波ガイドによる扁桃周囲膿瘍の排膿穿刺術」
地方独立行政法人 りんくう総合医療センター
「巨大神経鞘腫の一例」

 

●問い合わせ先
「画論 ザ・ベストイメージ」事務局
メールアドレス:[email protected]
https://jp.medical.canon/

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