JRC2020webがオンラインで開始
——Web-ITEM 2020の一般向け公開は6月30日まで
2020-5-18
JRC2020web特設サイト
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためにオンラインでの開催となったJRC2020web(https://jrc2020web.com )が2020年5月15日(金)から始まった。テーマは,「一寸の光陰 The power of Imaging」。6月14日(日)までの日程で開催される。東日本大震災が発生した2011年以来,二度目のWeb開催となった今回のJRCでは,第79回日本医学放射線学会(JRS)総会の会長を青木茂樹氏(順天堂大学),第76回日本放射線技術学会(JSRT)総会学術大会の大会長を奥田保男氏(量子科学技術研究開発機構),第119回日本医学物理学会(JSMP)学術大会の大会長を有村秀孝氏(九州大学)が務める。また,2020国際医用画像総合展(Web-ITEM 2020)は,学会共通コンテンツを6月14日,一般公開コンテンツを6月30日(火)までの予定で公開する。
5月16日15時からは,Opening Ceremonyの配信が始まった。第79回JRS総会実行委員長の隈丸加奈子氏(順天堂大学)が司会を務め,まず一般社団法人日本ラジオロジー協会代表理事の本田 浩氏が挨拶を行った。本田代表理事は,冒頭COVID-19の感染によって亡くなった方とその遺族に対して哀悼の意を表し,さらに感染者へのお見舞い,医療現場で活動する医療従事者への感謝の言葉を述べた上で,医療活動・感染防止対策への専念,大規模集会によるクラスター発生防止の観点からオンラインでの開催に変更したと説明した。そして,JRCは最新の放射線医療情報を集約して発信することで,日本の放射線医療を牽引してきたきわめて価値の高い学術集会であると言及。放射線領域では世界で3番目に規模の大きな学術集会になったと述べた。本田代表理事は,挨拶の最後に,積極的に参加して明日からの診療の糧にしてほしいと参加者に呼びかけ,記憶に残る実りの多い学術集会となることに期待を示した。
次いで,第79回JRS総会の青木会長が挨拶した。青木会長は,放射線科医は画像を診断・治療にフル活用していることから,今回のテーマに“The power of Imaging”を盛り込んだと述べた。そして,平成時代の画像診断の進歩は夢のようであったと振り返り,データ量の増加は予想を大きく超え,新たな領域を創出したと言及。これを踏まえて,JRSでは,ICT化によりビッグデータやAIを活用した医療の構造改革として,「Japan Safe Radiology」を推進していると説明した。さらに,青木会長は,Japan Safe Radiologyの事業として現在構築を進めている大規模画像情報データベース「Japan Medical Image Database(J-MID)」を紹介した。その上で,青木会長は,放射線科医はデータ量の増大化に柔軟に対応することが肝要であり,仕事の範囲を広げ,新しい分野に挑戦して,時には移行していかなければならないと強調。画像の力を信じて果敢に挑んでいけば,さらなる発展が期待できると訴えた。
3番目に挨拶した第76回JSRT総会学術大会の奥田大会長は,COVID-19との対峙と研究を成し遂げることは,達成すべき目標に向けて何度もシミュレーションを重ねプランを練り直すこと,熱意も持って真剣に取り組むことなど,多くの共通点があると説明した。そして,目の前のことに没頭して,瞬間を余念なく充実させることで,明日や未来が切り開かれると力を込めた。さらに挨拶の締めくくりとして,奥田大会長は,Web開催ならではの利便性を生かして,自分の糧となる研究テーマを探してほしいと述べた。
続いて,第119回JSMP学術大会の有村大会長が挨拶した。有村大会長は,医学物理学は,理工学と医学をつなぐ架け橋の学問であるとし,“The power of Imaging”のための架け橋になりたいと述べた。さらに,有村大会長は,今回の学術大会では,多様性に焦点を当てて,(1)基礎的技術,(2)スマートイメージング,(3)多様な研究者,(4)治療ガイドラインと治療先端技術の4つのキーワードでプログラムを組んだと説明した。
最後に,Web-ITEM 2020を運営する一般社団法人日本画像医療システム工業会(JIRA)の新延晶雄会長が挨拶し,一般公開コンテンツと学会共通コンテンツに分けて公開すると説明した。この学会共通コンテンツでは,出展社イチ押し展示,「医療放射線の最適化/防護/管理にかかわる最新技術動向(フェイズ2)」という特定テーマの展示・プレゼンテーション,未承認品展示など,参加登録者だけが閲覧できるコンテンツが用意されている。
Opening Ceremonyでは,このほか名誉会員の発表が行われた。JRSでは,James A. Barkovich氏(UCSF Benioff Children's Hospital),Denis Le Bihan氏(NeuroSpin),Jean-Luc Drapé氏(Hôpital Cochin - Service de Radiologie B),佐藤守男氏(阪南市民病院放射線診断センター長/和歌山県立医科大学放射線科名誉教授),宍戸文男氏(東北放射線科学センター理事長/福島県立医科大学名誉教授),JSMPでは遠藤真広氏(公益財団法人医用原子力技術研究振興財団常務理事),金井達明氏(大阪重粒子線センター副センター長)が紹介された。
なお,JRC2020webは,参加登録を行うことで,会長・大会長基調講演,合同企画,各学会プログラム,CyPos,実機展示,Web-ITEM2020(学会共通コンテンツ)などを閲覧できる。
●問い合わせ先
JRC運営事務局
E-mail:[email protected]
https://jrc2020web.com