日立製作所が「Hitachi Social Innovation Forum 2018 TOKYO」を開催
2018-10-22
展示会場メインステージでのプレゼンテーション
(株)日立製作所は2018年10月18日(木),19日(金)の2日間にわたり,東京国際フォーラム(東京千代田区)で日立グループにおける世界最大規模のイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2018 TOKYO」を開催した。通算20回目となる今回は,「社会イノベーションで,ともに豊かな社会を」をテーマに,講演,ビジネスセッション,セミナー,展示など多彩な企画を用意し,日立の強みであるOT(Operational Technology)×IT(Information Technology)×プロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業の成果や,日立のめざす未来を顧客と共有した。
初日は,執行役社長兼CEOである東原敏昭氏による基調講演「ともにつくる豊かな社会〜日立の社会イノベーション〜」でイベントを開幕。2日目の特別講演では,2017年にノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー氏(シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス教授)が「Making the world a better place one nudge at a time ひとつずつのナッジで、世界をより良い場所にする」と題して登壇した。
日立が注力する各分野の第一人者や有識者が議論するビジネスセッションも両日にわたって企画され,19日にはヘルスケア分野のビジネスセッション5「データが拓く次世代医療イノベーション」が行われた。2018年は,オンライン診療の保険点数化や次世代医療基盤法の施行など,医療のICT利用,デジタル化,データ化開始の節目の年となったことから,本テーマが設定された。モデレータを藤井省吾氏(日経BP社執行役員日経BP総研副所長,マネジメントソリューション局長,メディカル・ヘルスラボ所長)が務め,武藤真祐氏〔(株)インテグリティ・ヘルスケア代表取締役会長,医療法人社団鉄祐会理事長〕,隈丸加奈子氏(順天堂大学医学部放射線診断学講座准教授),渡部眞也氏〔(株)日立製作所執行役常務ヘルスケアビジネスユニットCEO〕の3名が登壇した。武藤氏はオンライン診療,隈丸氏は画像検査における情報共有と活用,渡部氏はデータに基づいた日立の医療イノベーションについて発表した。
武藤氏は,患者の重症化を防ぐためには行動変容を起こすことが重要であり,これからの医療システムは個別化医療にシフトする必要性があると指摘。それを踏まえ,地域医療の視点でインテグリティ・ヘルスケアが開発したオンライン診療システム「YaDoc」の概要と導入成果の事例を紹介した。そして,個別化医療の普及には,患者と医師へのインセンティブ,多職種連携,企業・自治体の参加による集団へのアプローチが必要だと締めくくった。
次いで隈丸氏が,「Value-based Imaging」と題して発表した。まず,画像検査の背景と問題点を説明した上で,それらの解決策の一つとして情報へのアクセス強化を挙げ,国内外の事例や順天堂での取り組みを紹介した。また,検査費の支払いを出来高払いから価値に基づく払い(Value-based payment)にする制度改革や,データの集約と施設間共有による情報共有も有効な解決策として説明した。
渡部氏は,ヘルスケア領域の政策として,さまざまな医療データ基盤の構築が進められていることを説明した上で,患者中心医療を実現し,医療の質向上と働き方改革を両立する「AIホスピタル」や「AI画像診断 DI×AI」,「がんゲノムデータに基づく個別化医療」など,日立の取り組みを紹介。データに基づく健康・医療の活性化には,国民の理解と協力,利活用の価値の高い医療データ,利活用の促進(出口戦略)などが課題であると指摘した。
各発表のあと,「医療データ,AIによる医療の未来像と課題」「オンライン診療の課題」をテーマに総合討議が行われた。
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展示会場では,各分野の社会イノベーション事業の最新の実績や取り組みを紹介した。ヘルスケア・ライフサイエンスの展示は,「デジタルとデータが牽引するヘルスケアイノベーション」と「医療の未来を拓く再生医療」をテーマに構成された。ビジネスセッションで紹介されたAIによる画像診断支援の取り組みをはじめ,粒子線治療ソリューション,デジタル手術支援ソリューションなどを紹介。新ソリューションとしてアピールされた「介護施設向けケア支援ソリューション」(日立情報通信エンジニアリング)は,入居者の排泄や室内の温湿度,移動・接近などの情報を集約,通知,蓄積し,適切なケアの支援やスタッフの負担軽減を図る。各種センサからの情報はBLE受信機(ランプ)で受信し,電話線を介して「日立データコレクションIC2000」に集約,内線電話機やランプ,アプリに配信されるため,施設内に既設の電話線を利用でき,導入コストを抑えることができる。
また,さまざまな業務にAIを活用する新コンセプト「AIプラス」も参考展示した。医療・介護分野への展開として,スマートフォンで食事の写真を撮るとAIがメニューを自動判別し,食品成分・栄養素を自動算出する開発中のシステムを紹介した。病院や介護施設,栄養ケア・ステーションなどでの栄養指導業務の効率化支援などを想定している。
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●問い合わせ先
(株)日立製作所 Hitachi Social Innovation Forum 2018 TOKYO事務局
TEL 03-4235-6140(9:30~12:00、13:00~17:00 ,土・日・祝日を除く)
E-mail [email protected]