ソフィアメディなどが「訪問看護ステーションの未来創り」と題したシンポジウムを開催
2018-1-30
訪問看護ステーション関係者など約500人が参加
一般社団法人訪問看護エデュケーションパーラー,ソフィアメディ(株),医療法人社団ホームアレーは2018年1月27日(土),日経ホール(東京都千代田区)において,「訪問看護ステーションの未来創り」と題したシンポジウムを開催した。2017年の介護保険法改正を受け,2018年は自己負担額の見直し,介護医療院の創設など,介護保険制度が大きく変わる。また,2018年度は診療報酬と介護報酬のダブル改定が行われるなど,訪問看護ステーションを取り巻く環境の変化も予想される。今回のシンポジウムでは,2025年問題に向けて地域包括ケアシステムの構築が進む中,訪問看護ステーションは,どのような事業展開が求められているか,意見交換する機会となった。
「2018年介護保険制度改正&診療・介護報酬ダブル改定を見据えた将来構想」をサブテーマに掲げたシンポジウムは,2題の基調講演とパネルディスカッション「訪問看護ステーション・未来創りセッション2018」の2部構成でプログラムが組まれた。
基調講演では,まず山崎摩耶氏(旭川大学特任教授,元・衆議院議員)が登壇し,「訪問看護の未来展望——地域包括ケアシステムで変える日本の医療」をテーマに講演した。山崎氏は,訪問看護ステーションは,制度が創設された1992年以降,常に追い風を受け飛躍的に施設数,利用者数を増やしてきたと説明した上で,現在,人材と規制緩和が大きな課題になっていると述べた。その上で,少子高齢化“多死”時代となり,政府が地域包括ケアシステムや地域完結型医療,在宅医療を推進する中で,変化に対応する事業者だけが今後生き残ることができるとして,行政が進める施策について解説を行った。さらに,山崎氏は,2018年度の診療報酬改定,介護報酬改定,障害福祉報酬改定の概要についても説明。欧州での訪問看護ステーションの取り組みを紹介し,地域包括ケアシステムにおいて訪問看護ステーションは重要な役割を果たすと言及した。その上で,山崎氏は,訪問看護ステーションの多機能化などが,利用者満足度を向上させ,結果として業績を上げるとともに,発展性・将来性にもつながると述べた。
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次いで登壇した佐藤美穂子氏(公益財団法人日本訪問看護財団常務理事)は,「訪問看護への期待と平成30年度報酬改定の動向」をテーマに講演した。佐藤氏は,日本訪問看護財団の事業を紹介した上で,訪問看護師の活動内容を説明。さらに,訪問看護ステーション事業者の構成や利用人数別の事業所数といったデータを示した。また,佐藤氏は,日本看護協会・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会で構成される訪問看護推進連携会議が策定した「訪問看護アクションプラン2025」の内容にも言及。「訪問看護の量的拡大」「訪問看護の機能拡大」「訪問看護の質の向上」「地域包括ケアへの対応」の4項目について解説した。その上で,佐藤氏は,2018年度の診療報酬改定における訪問看護療養費,介護報酬改定における訪問看護費の審議内容について説明した。
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休憩を挟んで行われたパネルディスカッション「訪問看護ステーション・未来創りセッション2018」では,「訪問看護ステーション事業:現状の課題の共有,そして10年先に通用する体制整備と変革視点とは!」をテーマに,7名のパネリストが登壇した。パネルディスカッションに先立ち,訪問看護エデュケーションパーラー理事長,ソフィアメディ代表取締役の水谷和美氏が挨拶を行った。水谷氏は,地域包括ケアシステムが推進される中,訪問看護分野に他業種からの参入があり,市場は競争になっていると指摘。お客様(利用者)に選ばれる訪問看護ステーションになるために,規模の拡大や高機能化,多角化,専門特化などの事業戦略を立て,さらに生産性向上を図ることが重要だと述べた。
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この後,糠谷和弘氏〔(株)スターコンサルティンググループ代表取締役〕がファシリテータを務め,基調講演を行った佐藤氏のほか,吉田豊美氏〔エムスリーナースサポート(株)代表取締役〕,吉田秀樹氏〔(株)N・フィールド常務取締役〕,大石佳能子氏〔(株)メディヴァ代表取締役〕,高丸 慶氏〔(株)ホスピタリティ・ワン代表取締役〕,高橋英太郎氏〔Buurtzorg services japan(株)代表取締役〕,信田 明氏(ソフィアメディ専務取締役〕がパネリストとして登壇。(1) 訪問看護ステーション運営,制度,地域連携上などで,実感する現状の課題について,(2) 経営合理化(人事・教育・内部統括・渉外・営業・会計など)への取り組み,経営を進めていく上での安定と成長方策,(3) 2025年以降も意識した訪問看護ステーション機能,展開,事業構造モデルについて,医療⇔看護⇔介護⇔施設などの複合経営を展開していく具体的事業構造とメリット,についてディスカッションが行われた。
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会場の外には,協賛企業の展示ブースも設けられた。このうちIT関連の製品・サービスとして,(株)eWeLLが訪問看護支援サービス「iBow」を展示。また,ニプロ(株)が見守り支援システム「ニプロハートライン」,公益社団法人かながわ福祉サービス振興会・(株)みらい町内会が,訪問看護師専用音声入力支援システム「エニフナース」やコミュニケーションロボット「PALRO」のデモンストレーションを行った。また,帝人ファーマ(株)が多職種連携情報共有システム「バイタルリンク」を紹介していた。
●問い合わせ先
一般社団法人訪問看護エデュケーションパーラー
教育・研修事業部
TEL 03-5773-5703
http://www.hokan-e-parlor.com