信州大学が“着る”ロボティックウェア「curara」の最新バージョンを発表
2017-9-22
curaraの4号機
(左がパンツモデル,右がスタンダードモデル)
信州大学繊維学部橋本・塚原研究室は,開発を進めている“着る”ロボティックウェア「curara」の最新バージョンを発表した。2017年9月20日(水)には,文部科学省情報ひろば(東京都千代田区)において発表会を開催。報道関係者にお披露目した。curaraは,身体に装着することで歩行などの生活動作を支援するウエアラブルタイプのロボット。高齢者や障がい者が身につけることで,リハビリテーションや日常生活での動作の負担が軽減される。人の動きに合わせて機能する“同調制御法”,筋電電極が不要となる“相互作用トルク(力)検出法”,動きやすく,軽量かつ着脱も容易な“非外骨格型構造”を採用。モーターから発生した力を直接人に伝えることによって動作を補助する。
同研究室では,人に優しいウエアラブルロボット技術で高齢者や障がい者などの動作を支援することを目的に,2011年から国立研究開発法人科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラムA-STEP,民間企業の支援を受けてcuraraの開発を進め,2011年には1号機が完成。さらに,2015年からは信州大学先鋭領域融合研究群歩行アシストサイボーグプロジェクトとして開発を継続し,4号機まで進化させた。
4号機は,(1)小型・軽量化,(2)快適な装着感,(3)利用者自身で着脱可能,(4)ユーザーインターフェイスの改良,(5)歩行状態の評価,の5つの視点から開発が進められ,装着型(スタンダードモデル)と衣服型(パンツモデル)の2タイプが造られた。重量は,スタンダードモデルが約4kg,パンツモデルが約5kg。バッテリーは,重量が0.7kgで,2時間の充電により1.5〜2時間程度稼働する。また,関節フレームの形状や脚部操作点を変更したほか,ダイヤルで締め付けを調整できる。さらに,コントローラと腰ベルトを統合し,3号機で2.2kgあった重量を1.4kgに軽量化した。加えて,1人で座って着脱ができるよう専用のイスも用意した。なお,操作は専用のモバイルデバイスから行い,歩行速度や距離などの測定も可能にした。
curaraは,これまで実証実験として脳卒中患者のリハビリテーションで利用され,歩行速度,左右対称性が改善されたという成果が得られている。今後,事業化をめざしており,同研究室教授の橋本 稔氏を代表者とした大学発ベンチャー企業AssistMotion(株)が,2017年1月に設立された。発表会でプレゼンテーションを行った橋本氏は,今後さらに開発を進め,2018年中には5号機を完成させ,安全性・耐久性を確認した上で,2019年に事業化すると説明。さらに,2020年には量産化をめざすという。また,事業化に当たっては,医療分野での利用も見込まれることから,医療機器としての認証を受けることも視野に入れているという。
なお,curaraの4号機は,2017年9月27日(水)〜29日(金)に東京ビッグサイト東展示ホールで開催される第44回国際福祉機器展に出展される。
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●問い合わせ先
信州大学繊維学部橋本・塚原研究室
TEL 0268-21-5523
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