量研機構が初年度の量子メス開発などの活動内容を報告

2017-4-7

量研機構


記者懇談会の様子

記者懇談会の様子

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研機構,QST)は2017年4月6日(木),東京事務所(東京都千代田区)にて第2回記者懇談会を開催し,発足初年度の活動内容を総括するとともに,重粒子線がん治療と量子生命科学の2つをテーマに基礎と最新の話題提供を行った。

量研機構は,国立研究開発法人放射線医学総合研究所(放医研)と国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の量子ビーム科学研究部門,核融合エネルギー研究開発部門を再編統合し,2016年4月1日に発足した。平野俊夫理事長は会の冒頭,「発足から1年が経ち,ようやく滑走路の工事が終わり離陸できる状態が整った。離陸に成功するよう,緊張感を持って取り組んでいきたい」と挨拶した。

はじめに平野理事長が,平成28年度の活動内容を報告した。量研機構は,将来ビジョンと戦略を掲げた「QST未来戦略2016〜量子科学技術による調和ある多様性の創造〜」(http://www.qst.go.jp/about/welcome/plan2016.html )を策定し,これに沿って各種研究開発に取り組んでいる。平野理事長は,研究開発推進のために設置した,分野横断的なバーチャルラボである「QST未来ラボ」,萌芽的研究・創成的研究を推進する「戦略的理事長ファンド」,産官学連携を推進する「QSTイノベーション・ハブ」について説明し,このうちQST未来ラボで進めている研究として量子生命科学や量子メスを紹介した。

この後,量研機構放射線医学総合研究所加速器工学部部長の白井敏之氏が「重粒子線がん治療の現在と未来」と題して,重粒子線がん治療の基礎や特長を解説した。量研機構では,“がん死ゼロ”の健康長寿社会の実現をめざし,高い治療効果を期待できるマルチイオン照射と治療装置の超小型化を可能にする量子メスの開発を進めている。白井氏は,量研機構の強力なリーダーシップの下,民間企業と協力してプロジェクトを推進していくとコメントした。

続いて,量研機構理事の島田義也氏が「量子生命科学の胎動」をテーマに,量子物理学・量子技術と分子生物学を融合した量子生命科学について説明し,量研機構の取り組み・研究例を紹介した。量研機構では,新しい学際的な研究分野として量子生命科学の開拓をめざしており,4月に第1回量子生命科学研究会を,7月には海外から講演者を招き,第1回国際シンポジウム「量子生命科学 -Quantum Life Science-」(会場:東京ベイ幕張ホール)を開催する予定である。

平野俊夫 理事長

平野俊夫 理事長

白井敏之 氏(放医研)

白井敏之 氏(放医研)

島田義也 理事

島田義也 理事

 

●問い合わせ先
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
経営企画部広報課
TEL 043-206-3026
E-mail:[email protected]
http://www.qst.go.jp/

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