NEC,ベンチャー子会社を設立してペプチドワクチンによるがん免疫治療事業に参入
2016-12-21
創薬新事業を行う新会社を設立。
右から岡氏,安中正弘氏(NECキャピタルソリューション),
清水氏,土肥氏,木村廣道氏
(ファストトラックイニシアティブ),
関口栄一氏(三井住友銀行),
山口正弘氏(SMBCベンチャーキャピタル)
NECは,2016年12月19日(月),同社の人工知能(AI)技術を用いて山口大学や高知大学と共同で発見したがんペプチドワクチンについて,その開発・実用化を推進する新会社「サイトリミック」を設立,創薬事業に参入することを発表した。また,NECとサイトリミックは,ファストトラックイニシアティブ,SMBCベンチャーキャピタル,NECキャピタルソリューションと,3社を引受先とする第三者割当増資に合意した。事業開始に当たり,取締役執行役員常務兼CMOの清水隆明氏,サイトリミック代表取締役社長の土肥 俊氏,山口大学学長の岡 正朗氏のほか,出資企業の代表者らが出席して会見を行った。
冒頭,挨拶に立った清水氏は,「不可能だと思われていたチャレンジも,勇気ある志の高い冒険家によっていずれ成し遂げられると信じている」と述べた上で,NECが創薬事業に取り組む背景を説明した。同社は,“Orchestrating a brighter world”をスローガンとして,7つの領域で社会価値を創造する事業を展開しているが,今回はヘルスケア(Quality of Life)領域で病気の克服をターゲットにした事業となる。NECでは,AI研究についても1991年から開始し,幅広い領域での応用をめざして研究を進めており,2016年にAIを総称するブランドとして“NEC the WISE”を立ち上げた。今回は創薬分野で,機械学習法の一種であるアクティブラーニングによるアプローチで薬剤の設計(ドラッグデザイン)の大幅な効率化を実現した。これを,がんに対する第4の治療方法と言われる免疫治療におけるペプチドワクチンの開発に適用し,新事業としてベンチャー企業を立ち上げ創薬分野に参入すると述べ,「冒険家たる不屈のチャレンジャー」として岡氏と土肥氏を紹介した。
続いて,岡氏が山口大学で取り組んだ新規ペプチド探索研究の概要について,「次世代がんペプチドワクチンの開発〜アカデミアの立場から」と題して説明し,さらに新会社であるサイトリミックの代表取締役に就任した土肥氏が,新しいがんワクチン開発について免疫治療のメカニズム,AIによる免疫機能予測技術の概要,今後の事業の進め方などを説明した。すでに,免疫活性化が確認されたペプチド2件,免疫賦活剤のアジュバント2件が特許出願済みで,今後は2年間の非臨床開発,3年間の臨床試験(phaseⅠ/Ⅱ)を経て実用化をめざす。
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最後に,増資を引き受けた出資企業の代表が挨拶し,ファストトラックイニシアティブの代表取締役・木村廣道氏は,「イノベーションは常に想定外のところから起こる。日本のICTの代表企業であるNECが創薬を手掛けるというのは,まさに想定外で大きなインパクトを受けた。さらに,創薬としては上級者コースのがんワクチンの開発を,世界トップクラスの研究機関である山口大学と連携して行うということで大いに期待している」とコメントした。
●問い合わせ先
NECの創薬事業について
NEC 事業イノベーション戦略本部
E-Mail:[email protected]
サイトリミックについて
サイトリミック(株)
E-Mail:[email protected]
http://www.cytlimic.com/
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