「I love MRI」をテーマに,第43回日本磁気共鳴医学会大会が開かれる
2015-9-14
腹部領域のMRIをテーマにした
JSMRM-KSMRM Symposium 1
43回を数える日本磁気共鳴医学会大会が2015年9月10日(木)〜12日(土)の3日間の日程で,東京ドームホテル(東京都文京区)を会場に開催された。今回のテーマは,「I love MRI」。大会長は青木茂樹氏(順天堂大学大学院医学研究科放射線医学)が務めた。
10日午前に第1会場で行われた開会式の中で青木氏は,自身が医師になった1984年ごろから超電導型MRIが登場し,その後もMRIは進歩を続けてきたと述べた上で,近年は大きな技術革新はないものの,まだまだ開発の余地は残っており,今大会がそのきっかけをつかむチャンスの場としてほしいと参加者に呼びかけた。また,青木氏は,テーマの「I love MRI」について,臨床での有用性を知るたびに,MRIは素晴らしいと感じており,その気持ちを素直に表現したと説明した。そして,参加者に向かって,MRIが好きだという気持ちを持って,ディスカッションや情報交換をしてほしいと述べ,挨拶を締めくくった。
開会式に続き,第1会場では国際学会との交流を目的に,韓国のKorean Society of Magnetic Resonance in Medicine(KSMRM)との共催シンポジウムが設けられた。まず,「Opening Remarks from KSMRM」として,KSMRM学会長のJin-suck Suh氏(Yonsei University)がスピーチ。次いで,JSMRM-KSMRM Symposium 1が行われた。このシンポジウムでは,「Cutting-edge technologies for Abdominal MR」をテーマに,腹部領域における最新トピックスが両国の演者から報告された。座長は,吉満研吾氏(福岡大学医学部放射線医学教室),竹原康雄氏(浜松医科大学医学部附属病院放射線部),Chang Hyun Oh氏(Korea University)が務めた。また,同日午後には同じく第1会場でJSMRM-KSMRM Symposium 2の「Vascular imaging including contrast enhanced MRA」が開かれた。桑鶴良平氏(順天堂大学大学院医学研究科放射線医学),高瀬 圭氏(東北大学大学院医学系研究科放射線診断学分野),Tae-sub Chung氏(Yonsei University)が座長を務め,4名の演者が造影MRAなどの血管イメージングについて発表した。
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さらに,今回の大会では,4つのシンポジウムがプログラムされた。10日午後には,第2会場において,青木伊知男氏(放射線医学総合研究所分子イメージング研究センター)と黄田育宏氏(情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター)が座長を務め,シンポジウム1「前臨床MRI 構造と機能のあいだに」が行われた。このシンポジウムでは,Marty Pagel氏(University of Arizona)がCESTイメージングについて講演。兵藤文紀氏(九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点)が生体動的核偏極(DNP)-MRI,鎌形康司氏(順天堂大学医学部放射線科)が脳透明化技術を報告するなど,5名の演者がMRI研究の最先端の動向を紹介した。
11日午前に第2会場で行われたシンポジウム2では,「Body DWI Update」をテーマに,7名の演者による発表が行われた。座長は本杉宇太郎氏(山梨大学医学部放射線科)と高原太郎氏(東海大学工学部医用生体工学科)の2名。まず,本杉氏が「Body DWI overview」と題して講演した後,高原氏がcomputed DWI(cDWI)に関して解説するなど,臨床と技術開発の両面について,放射線科医とメーカー技術者が体幹部DWIのトピックスを報告した。
11日午後からは,第2会場でシンポジウム3が行われた。テーマは,「MRIからせまる脳科学」。定藤規弘氏(自然科学研究機構生理学研究所大脳皮質機能研究系)と阿部 修氏(日本大学医学部放射線医学系画像診断学分野)が座長を務めた。このシンポジウムでは,MRIを用いた脳科学研究の最新動向が取り上げられた。松田博史氏(国立精神・神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンター)がASL画像を基にしたネットワーク分析を報告したほか,花川 隆氏(国立精神・神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンター)が安静時機能MRI,福永雅喜氏(自然科学研究機構生理学研究所心理生理学研究部門)が7T MRIによるfMRIを説明するなど,6名が研究成果を発表した。
最終日の12日午前には,土橋俊男氏(日本医科大学付属病院放射線科)と後藤政実氏(北里大学医療衛生学部医療工学科診療放射線技術科学専攻)が座長を務め,シンポジウム4「撮像方法 匠のわざ」が設けられた。5名の演者が日常診療における3T装置を使用した撮像時の工夫などを紹介するもので,まず,石坂欣也氏(北海道大学病院放射線部)が,(株)日立メディコの3T装置「TRILLIUM OVAL」を用いた脊椎の撮像におけるアーチファクトを防ぐための患者の挙上について解説した。次いで登壇した小川匡史氏(日本医科大学付属病院放射線科)が,(株)フィリップスエレクトロニクスジャパンの「Achieva 3.0T」での3D TSE法による下垂体ダイナミック撮像を紹介した。3番目に登壇した北川 久氏(東京慈恵会医科大学附属第三病院放射線部)は,撮影時のTEの設定方法とシーメンス・ジャパン(株)のアプリケーションである“syngo RESOLVE”でのDWIを説明した。続く,藤田 功氏(さいたま市立病院中央放射線科)は,東芝メディカルシステムズ(株)の非造影MRA技術である“Time-SLIP”法を用いた腎動脈の描出方法について述べた。さらに,最後に登壇した高橋光幸氏(国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院)は,GEヘルスケア・ジャパン(株)の装置を用いた,T1強調,T2強調画像の撮像におけるGate SSFSE法,CCOMP SPGR法を説明したほか,DWIの工夫として,“FOCUS-like CWI”やcDWIなどを紹介した。
今回の大会は,都心での開催とあって3日間とも参加者が多く,シンポジウムをはじめ各セッションでは立ち見も多く出るなど,最後まで活気があった。大会テーマである「I love MRI」の思いが参加者の表情からも感じられ,充実した大会となったと言えよう。次回は,新津 守氏(埼玉医科大学放射線科)が大会長を務め,2016年9月9日(金)〜11日(日)のスケジュールで,大宮ソニックシティ(埼玉県さいたま市)を会場に開かれる。
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■企業展示
●GEヘルスケア・ジャパン
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●シーメンス・ジャパン
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●東芝メディカルシステムズ
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●日立メディコ
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●フィリップスエレクトロニクスジャパン
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●ザイオソフト
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●AZE
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●PSP
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●スター・プロダクト
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●東洋メディック
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●トーレック
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●フジデノロ
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●問い合わせ先
第43回日本磁気共鳴医学会大会
大会事務局
順天堂大学大学院医学研究科放射線医学内
E-mail [email protected]
http://www.c-linkage.co.jp/jsmrm43/
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