船井電機,エクストリリオン社と提携し光音響イメージングなどで医療事業を展開
2014-11-19
両社の提携では,光音響イメージングのほか
歯科用CT診断装置の要素技術開発にも取り組む。
船井電機(株)と(株)エクストリリオンは,医療機器事業での提携を行い,その中で世界初のLED光源方式による光音響イメージング技術の開発に成功したと発表した。2014年11月14日(金)に船井電機東京支社で,同社執行役員社長の林朝則氏,エクストリリオンの阿賀野俊孝社長らが出席して記者会見を行った。会見では,最初に林社長が船井電機の医療事業への取り組みに至る経緯を,続いてエクストリリオンの阿賀野社長が会社の概要と船井電機との医療機器事業での提携内容を説明し,最後にエクストリリオンの開発本部第一開発部部長の佐藤直人氏が新技術の内容について解説した。
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今回の両社の提携では,1)歯科用CT診断装置の診断機能の向上と被ばく線量低減に向けた要素技術の開発,2)共同技術開発した光音響効果を用いた世界初のLED励起方式光音響イメージング・システムのさらなる展開,が主な領域となる。このうち,LED励起方式光音響イメージング・システム(以下,光音響イメージング)では,これまで高価で大型装置が必要だった固体レーザー光源に替わって,高輝度LEDを光源にすることで大幅に小型化した“超小型高輝度パルスLED光源”を船井電機が開発,エクストリリオンの高速信号処理,画像処理技術を活用することで,これまでの固体レーザー光源では不可能だった光音響画像の生成を可能にした。
光音響イメージングは,体内のヘモグロビンや水の影響を受けない0.7μm〜2.5μmの波長の近赤外光を体表から照射する。ナノ秒パルスで発振する近赤外光を照射することで,体内の光吸収体で吸収された光エネルギーによって断熱膨張が起こり,微弱な音響波(弾性波)が発生する。この音響波は超音波の周波数領域であることから,超音波センサ(プローブ)での受信が可能になる。光音響波イメージングでは,光吸収体の位置情報や吸収量の情報から画像化できることから,通常の超音波画像とは異なり,例えばヘモグロビンを含む組織の位置や分布を把握でき,“機能”イメージングが可能になる。臨床応用例として,生検やドレナージの際の穿刺針の描出,高濃度乳腺の検出,頸動脈プラークの性状判定などが期待されるという。
今回の共同開発では,LEDによる光源の小型化によって超音波画像診断装置のプローブ部分に組み込めるようになり,発生した光音響波を超音波プローブで受信し,光音響画像を表示したり,超音波画像に重畳した表示が可能になった。現在は,超音波プローブにLED光源を組み合わせて光音響画像を表示するところまで開発が進んでいるが,今後は超音波診断装置などを持つ医療機器メーカーや大学・医療機関などと連携して,光音響イメージングの用途開発と製品開発を進めていく。阿賀野社長は,光音響イメージングの製品化のめどを1年半から2年後とした上で,将来的な希望として「X線も使わない,低侵襲な方式である光音響イメージングは,既存の画像診断装置にはない新しい情報を提供できる,新しいモダリティとして確立していくと期待している。そこまでには10年,20年のスパンが必要だが,今回のLEDによる光源の小型化はそのための第1歩だ」と述べた。林社長は,医療事業は今後の船井電機の事業の柱の1つになると考えているとして,今回の提携で3年後に売上で100億円をめざすと述べた。
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船井電機株式会社
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