心血管治療のさらなる進化に向けて,第23回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2014)が開催
2014-8-18
初日の午後に行われた
ドイツContilia Heart and Vascular Centerからの
ライブデモの会場風景
第23回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2014)が,三重ハートセンター院長の西川英郎氏を会長として,2014年7月24日(木)〜26日(土)の3日間,名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開催された。テーマは,「サイエンスとアートの融合 Fusion of Science and Art, with Humanity」。日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)は,日本心血管インターベンション学会(JSIC)と日本心血管カテーテル治療学会(JACCT)が統合し2009年に設立されている。
プログラムは,メディカル企画とコメディカル企画が設けられ,メディカル企画では海外からの招聘による5つの特別講演のほか,特別企画として,日本の心血管インターベンションの先駆者である加藤修氏,湘南鎌倉総合病院の齋藤滋氏,豊橋ハートセンターの鈴木孝彦氏,倉敷中央病院の光藤和明氏による「達人とすごす:マスターのつぶやきを味わう」,聖路加国際メディカルセンターの日野原重明氏,セコイア病院の日野原知明氏による親子対談など5つのセッションが設けられた。カテラボと中継を繋ぎ最新手技を供覧するライブデモンストレーションは,海外からアメリカ,ドイツ,ニュージーランド,日本から三重ハートセンター,豊橋ハートセンターを結んで行われた。そのほか,シンポジウム22題,パネルディスカッション30題,ラウンドテーブル,教育講演,他学会との合同セッションなど多彩なプログラムが用意された。また,コメディカル企画では,特別講演「低侵襲的イメージングの最新技術と活用」として循環器領域におけるCT,MRIの最新技術の治療への応用を解説したほか,シンポジウム2題,パネルディスカッション6題などが行われた。採択された一般演題は,メディカル,コメディカル合わせて1286題にのぼった。
企業の協賛企画としてランチョンセミナー,コーヒーブレイクセミナーのほか,デバイスやソフトウエアを体験して学習できるハンズオンセミナーが開かれ多くの参加者を集めた。展示会場には35社が出展,そのほか会場内の各所にホスピタリティスペースとして6社がブースを設けてカテーテルやステントなど最新のデバイスや機器,システムをアピールした。
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【REPORT】FileMakerで構築した受付システムを採用して受付業務を効率化
CVIT2014では,学会の受付業務にQRコードとタブレットPC,プリンタを使った受付システムを採用し,スムーズな処理と省力化を実現した。システムの開発にはFileMakerが採用されており,今回の学会運営を担当する(株)コングレのIT専門の子会社である(株)マイス・ワン
が開発を担当した。
受付システムで運用されているのは,事前登録を行った参加者の受付。Webで事前登録を行った参加者には,学会開催前にQRコード入りのリマインドメールが送信される。このQRコードのプリントやスマートフォンなどにダウンロードして持参し,受付端末で読み取り機にかざすことで,ネームカードやランチョンセミナーなどのチケットが印刷される仕組みだ。CVIT2014では,受付機としてタブレットPC,インクジェットプリンタを組み合わせた端末を5セット用意。QRコード読み込みから印刷までは1分以内で終了するため待ち時間もほとんどなく,案内やサポートのためのスタッフが1〜2名ついてるだけでほぼ無人で運用されていた。
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システムの開発を担当したマイス・ワンの宮原あゆみさんは,「手間と人手が必要だった学会受付の業務を,FileMakerでシステム化することで効率化と省力化を図りました。学会ごとに異なる運用や現場での柔軟な対応が求められる学会運営に対応できる自由度の高さから,FileMakerを採用しています」と説明する。
従来の学会受付では,あらかじめ作成したネームカードを50音順に並べておき,来場者の名前を聞いて“カルタ取り”を行うのが通常の運用だった。「名前を確認してリストをチェックし素早くカードを探してお渡しする,それをいかに迅速に処理するかが勝負でした。受付が集中する時間帯に合わせて人員を配置しますが,ピーク時はパニック状態で大変な業務でした」と宮原さんは言う。現在のシステム導入後は,当時に比べてスタッフは1/3になった。CVITの参加者数は5000人前後で学会としては中規模だが,万単位の来場者のある大規模な学会や国際会議での運用実績もあり,問題なく処理できているという。
FileMakerでは,事前登録のデータ管理,開催前のリマインドメールの一斉配信,当日の受付状況の管理,印刷フォーマットのレイアウトなどを行う。事前登録のデータに基づいて,メールを一斉配信できるほか,受付で印刷されるネームカードやセミナーチケットのフォーマットについても,印字内容やデザインなどFileMakerでは自由にレイアウトできる。「事前登録のネームカードを郵送する手間やコストの削減,また登録の重複チェックなど学会事務の手間を削減できました。ネームカードなどに印刷する内容は,学会によって本当に千差万別ですが,FileMakerであれば自由に対応できます」(宮原さん)と言う。
さらに,受付状況をFileMakerで管理することでログの取得が可能になり,ピーク時の時間帯や人数,QRコードを忘れた率などを集計することで,人員の配置や受付端末の台数など次回の運営に生かすことが可能になるという。今回の学会では,iPadのFileMaker Goでサーバのチェックイン状況などの情報をリアルタイムで確認できるようにした。
マイス・ワンのシニアマネージャーの清澤浩明氏は,FileMakerを採用したメリットを次のように言う。「学会の運営は,事前にどんなに準備をしても当日になって運用の変更が発生するような不確定要素の多い業務です。受付システム自体は基本的にはデータベースですが,システムを作り込んでも仕様の変更に対応できないと,あとは運用でカバーするしかなく,現場の負担が大きくなります。FileMakerであれば,突然の運用変更にも現場で柔軟に対応することが可能です」
実際に,当日に主催者から運用を変更して欲しいという依頼があり,急遽受付開始前の1時間程度でシステムを変更して対応したこともあったという。「システムの変更は,トラブルを起こしたら元も子もないので慎重に進めますが,主催者の要望にいかに応えられるかが重要ですので,できる限り対応します」(宮原さん)
マイス・ワンでは,2008年からのFileMakerによる開発を開始し,受付システムのほか,電子抄録検索システム,学会事務局の業務を支援する帳票出力システムや会員管理システムなどを提供している。また,FileMaker以外のシステムとして,決済と発券機能を搭載した多機能自動発券機(CMTM)やタブレットやスマートフォン向けのアプリ「Myスケジュール」など学会運営をサポートするITソリューションの開発を行っている。清澤氏は,「学会ごとに違う多様な運用に応え,学会のスムーズな運用をサポートできるようにシステムの開発に取り組んでいます」と述べる。CVITでも,当日受付用として多機能自動発券機が設置され,Myスケジュールでは米アップル社の最新技術であるiBeaconを使ったロケーションサービスも提供されていた。
FileMakerによる受付システムについても,運営と開発を繰り返すことで,今でもシステムは進化しているという。「運営での問題点をフィードバックして,すぐに開発に反映できることもFileMakerのメリットです。FileMakerの開発スタッフは2名ですが,いろいろな要望に応えられるように今後も開発を進めていきます」と宮原さんは述べている。
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●問い合わせ先
CVIT2014運営事務局
(株)コングレ 中部支社内
TEL 052-950-3369
Email [email protected]
(株)マイス・ワン
TEL 03-5216-6661
http://www.mice-one.co.jp/