FileMaker カンファレンス 2013 
FileMakerによるソリューションやテクニックなど最新情報を共有

2013-11-27

クラリス(FIleMaker)

ヘルスケアIT


オープニングセッション会場風景

オープニングセッション会場風景

FileMaker カンファレンス 2013が,11月27日(水)〜29日(金)の3日間,東京中央区の東京コンベンションホールで開催された。FileMaker カンファレンスは,ファイルメーカー社が主催して年に1回開催される,データベースソフトウエアFileMakerをテーマにしたカンファレンスで,エキスパートによる作成法の解説や事例紹介などの講演,トレーニングトラック,FileMakerのコンサルタントや受託開発を行う企業のアライアンスであるFBA(FileMaker Business Alliance)メンバーによる展示などが行われた。講演(トラック)の内容は,リレーショナルデータベースやスクリプトなどの開発テクニックや金融機関の導入事例など多彩なテーマをカバーする“ジェネラルトラック”,iOSのアプリであるFileMaker Goの構築や事例を紹介する“iPad&iPhoneトラック”,医療関連の事例を紹介する“メディカルトラック”となっている。

ビル・エプリング社長

ビル・エプリング社長

27日には,オープニングセッションが行われ,ファイルメーカー社の代表取締役社長,ビル・エプリング氏,FileMaker,Incのエンジニアが登壇して,同社のビジネス戦略や新製品についてデモを交えて紹介した。そのほか,ショウケース(展示)では,ジェネコム,ジュッポーワークス,イエスウィキャン,バルーンヘルプなど21社が,FileMakerプラットフォームを利用したさまざまなソリューションを展示した。

カンファレンス3日目の29日(金)には,医療の事例を紹介するメディカルトラックが5セッション行われた。トラックM-1「電子カルテソリューションの構築手法と運用事例」では,有限会社エムシスの秋山幸久氏が小児科向け電子カルテソリューションとして開発された「ANNYYS(エニーズ)」の開発の経緯と,10月にリリースされた「ANNYYS_Developer版」の概要と技術的なポイント,今後の展開などを紹介した。講演では,ANNYYS開発メンバーのひとりである都立広尾病院の山本康仁氏が登壇し,ANNYYS_Developer版への期待について,「ANNYYS_Developer版は,建物ならば居抜きの物件ではなくスケルトンで,そのまま利用するのではなくユーザーのニーズや好みに合わせた電子カルテが構築できる。すでに177床の佐賀記念病院でANNYYSによる電子カルテが稼働しており,高速な開発環境とパワフルな処理を可能とするFileMakerプラットフォームの採用で,継続性や拡張性を持ったソリューションが提供できる」とコメントした。ANNYYS_Developer版では,ORCAとの連携機能を標準装備し,ユーザーレベルの設定によるセキュリティ管理,電子カルテ3原則への対応などを特長とする。秋山氏は,ANNYYS_Developer版をひとつのプラットフォームとして,さまざまなベンダーやパートナー,ユーザーである医療関係者とコミュニケーションしながら,今後10年のスパンでANNYYSを展開していきたいと述べた。

秋山幸久 氏

秋山幸久 氏

山本康仁 氏

山本康仁 氏

 

トラックM-2「アナログの仕組みと効果的に統合した北海道の広域医療連携ソリューション」では,札幌医科大学医学部神経内科学講座の齊藤正樹氏と、DBPowersの有賀啓之氏が登壇し,北海道の広域連携型の地域連携パスとして構築された“北海道あんしん連携ノート”の構築の経緯と運用について講演した。あんしん連携ノートは,脳卒中の地域連携パスについて,北海道という地域性にあわせた広域での運用,既存の連携パスとの連携,ITを活用した連携とデータベース化をめざして,2011年から運用がスタートした。母子手帳をモデルに確実に運用できる方法として患者に実物の連携ノートを配布。そこに記入されたデータを電子的に入力する仕組みとして,連携ノートと同じレイアウトで入力できるWebシステムを構築した。この構築にあたって,レイアウトの試作やデータベースシステム,Web連携などの部分でFileMakerが活用された。

齊藤正樹 氏

齊藤正樹 氏

有賀啓之 氏

有賀啓之 氏

 

トラックM-5「電子カルテシステムと FileMaker 連携で実現した『ユーザーメードITソリューション』」では,医療法人葵鐘会の吉田茂氏と,株式会社富士通システムズ・ウエストの沼澤功太郎氏が,名古屋大学医学部附属病院で構築したベンダー製の基幹システムとFileMakerによるユーザーメードシステムが連携したシステム構築の事例について講演した。吉田氏は,小児科医として勤務していた病院でのFileMakerによるユーザーメードのシステム構築の実績が認められて,2004年に名古屋大学病院のメディカルITセンターの准教授に就任。基幹の電子カルテシステム(富士通「NeoChart」)と連携したFileMakerをベースにした診療支援システム「名大の森」を構築した。その構築の中でベンダー側の担当者としてかかわった沼澤氏は,ベンダーが提供するシステムを利用するだけでなく,ユーザーとベンダーが互いに協調していくことが本当に診療に役立つシステムの構築につながるとして,富士通としてもユーザーメードとの連携を密にしていることを紹介した。同社の電子カルテシステムである「HOPE EGMAIN/GX」のバージョン4では,FileMakerとの連携が強化されている。吉田氏は,ベンダー製とユーザーメードが対立するのではなく,調和・融合していくことが理想であり,それが可能になるのがFileMakerだと述べた。

吉田 茂 氏

吉田 茂氏

沼澤功太郎 氏

沼澤功太郎 氏

 

ショウケースでは,FileMakerをプラットフォームにした医療関係のソリューションも数多く展示された。

オネスト:医療機関向けトータルサポートシステム「CANVAS Clinic」などを紹介。カンファレンス支援の機能などが追加された。

オネスト:医療機関向けトータルサポートシステム「CANVAS Clinic」などを紹介。カンファレンス支援の機能などが追加された。

三栄メディシス:クラウド型電子カルテシステム「s-Cloud365 EMR」などを展示。

三栄メディシス:クラウド型電子カルテシステム「s-Cloud365 EMR」などを展示。

 

トップオフィスシステム:透析業務支援システム「dottoHD」などを紹介。メディカルトラックで泉南新家クリニックの講演も行われた。

トップオフィスシステム:透析業務支援システム「dottoHD」などを紹介。メディカルトラックで泉南新家クリニックの講演も行われた。

キー・プランニング:既存システムとFileMakerのソケット通信でのデータ連携を可能にする「KP-Sync」を出展。

キー・プランニング:既存システムとFileMakerのソケット通信でのデータ連携を可能にする「KP-Sync」を出展。

 

バルーンヘルプ:在宅診療支援システム「Linkle」を紹介。

バルーンヘルプ:在宅診療支援システム「Linkle」を紹介。

ジェネコム:病床管理・看護記録システム「SPACE」を展示。

ジェネコム:病床管理・看護記録システム「SPACE」を展示。

 

●問い合わせ先
FileMaker カンファレンス 2013 事務局((株)コンベンションリンケージ内)
TEL 03-3263-8698
FAX 03-3263-8687
E-mail [email protected]
www.filemaker.co.jp

 

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