ITEM2013 シーメンス・ジャパン ブースレポート
visualized(可視化)をテーマにsyngo viaの新バージョンから新世代血管撮影装置「Artis Q.zen」まで新製品を多数展示
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2013-4-26
シーメンス・ジャパンブース
シーメンス・ジャパンは,ブースのテーマを「Answers,visualized.〜鮮やかに未来(こたえ)がみえる。」として展示を行った。先進的なvisualized(可視化)技術がさまざまな課題解決に貢献できることを新製品やソリューションを通じて紹介した。新製品としては,3T MRI「MAGNETOM Skyra」に搭載される新しいアプリケーションである「syngo ZOOMit(局所撮像励起)」,X線管からFPD検出器までの画像系を一新した新しい血管撮影装置「Artis Q」「Artis Q.zen」,バージョン20となって“CT Bone Reading”など77のアプリケーションが利用可能となった「syngo.via」,超音波ではポータブルタイプの「ACUSON P300」,eSie Fusion Imagingが可能になった「ACUSON S3000」などを紹介した。また,X線では同社の多軸血管撮影装置「Artis zeego」とマッケ社の手術台「MAGNUS(マグナス)」を組み合わせたハイブリッド手術室を実機で展示した。
初日(12日)に行われた記者説明会では,代表取締役社長兼CEOの織畠潤一氏が挨拶し,シーメンス・ジャパンのヘルスケア部門の取り組みを紹介し「シーメンスのアドバンテージは,企業のDNAである“イノベーション”をベースとして,予防から診断,治療,アフターケアまで一貫したトータル・ソリューションを提供できることだ。シーメンスは,大規模病院だけでなく,中規模病院からクリニックまで対応する幅広いソリューションを提供しているが,ヘルスケア領域はローカルに根付いた体制が重要であり,日本において今後も引き続き投資をして,万全の体制で取り組んでいく」と述べた。また,同説明会で,持田シーメンスメディカルシステムズの統合,カスタマー・ケア・センター(CCC)の概要などがあわせて紹介された。(4月12日取材)
●syngo.via:77のアプリケーションを統合的に利用できるバージョン20の機能を紹介
PACSや3Dなどの機能を統合し画像診断のワークフローを統合的に管理,運用する画像解析ソリューション「syngo.via」は,バージョン(V)20となり,前バージョンから15のアプリケーションが新たに追加されて77種類が利用できるようになった。syngo.viaは,各モダリティを横断的にカバーする統合ソリューションだが,V20ではモダリティとしてマンモグラフィまで対応を広げ,Oncology,CardioVascular,Neurologyの各領域のアプリケーションが強化された。そのほか,V20の新機能としてはRECIST,PERCISTPET,PI-RADS,BI-RADSなどのガイドラインを適用したレポートテンプレートの増加,自動抽出精度の向上,3D解析処理画像の編集機能の充実などが挙げられる。新アプリケーションの1つである“CT Bone Reading”では,ワンクリックで脊椎,肋骨を展開し全容を把握でき,骨転移や骨折などの読影に有効で,放射線科医や救急医,整形外科医の迅速な診断に寄与する。また,“MM Oncology Lung CARE”では,肺結節の自動検出が可能で,ワンクリックでの体積計測やRECIST(固形がんの治療効果判定ガイドライン)への計測情報の自動反映ができる。そのほか,放射線治療の“MM Oncology RT Connect”,マンモ領域でトモシンセシスにも対応した“Breast CARE Reading”などの新機能を紹介した。
また,CTコーナーでは,syngo.viaのCTでの利用環境として,腫瘍,循環器,脳神経,Dual Energyなど領域ごとに必要な処理やモードがプリセットされて効率的で標準的な読影が可能なことが紹介された。
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●MR:パラレル送信技術“syngo ZOOMit with TimTX TrueShape”が薬事承認取得
MRIでは,3T MRIのフラッグシップモデル「MAGNETOM Skyra」が展示されたが,Skyraに搭載される新しいアプリケーションとして局所励起撮像技術“syngo ZOOMit”が紹介された。syngo ZOOMitは,パラレル送信技術“TimTX TrueShape”によって局所の画像化を可能にするもので,関心領域を絞った撮像を短時間で高分解能に行うことができる。ディフュージョンや3D撮像などに対応し,展示では脳神経領域のアルツハイマーの診断,腹部や骨盤の診断での有用性について,臨床画像を含めて紹介した。syngo ZOOMit with TimTX TrueShapeは,4月4日に薬事承認された。また,高性能と経済性を両立した1.5Tの「MAGNETOM ESSENZA」がリニューアルされ,検査を最適化するDotシステム搭載機種として新たに紹介された。
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●CT:日本市場向けのコンパクト64スライスCT「SOMATOM Perspective」を中心に紹介
CTコーナーでは,2012年のITEMに続き,64スライスのCTとして新たに開発され,コンパクトで経済性を考慮した「SOMATOM Perspective」を展示した。SOMATOM Perspectiveは,日本市場向けに開発された64スライスで,従来のシングルスライスCTと同じ面積に設置が可能で,展示では日本の医療機関で実際に設置されている13.8m2の空間を再現し,コンパクトさを実感できるようになっていた。また,電源や空調設備,ストレッチャーでの搬送などワークフローにも配慮されており,心臓検査まで対応できる高いパフォーマンスがポイントである。
また,ハイエンドのSOMATOM Definition Flash,SOMATOM Definition Edgeに搭載されている次世代型検出器「Stellar Detector」も展示された。フルデジタル化することで電子ノイズやクロストークを抑え,低線量で高画質の撮影を可能にする。同社では,逐次近似画像再構成技術だけでなく,Stellar Detectorなどハードウエアからもアプローチすることで,低電圧撮影が可能になり最適な線量で最高のイメージクォリティが得られることをアピールした。
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●US:CT,MRのデータとリンクした超音波検査をオートで実現する“eSie Fusion Imaging”
超音波では,同社のフラッグシップ超音波診断装置の「ACUSON S3000」で可能になった“eSie Fusion Imaging”を紹介した。eSie Fusion Imagingは,CT,MRIのボリュームデータを用いて超音波画像と重ね合わせることで,CT画像を参考にして超音波による診断や穿刺などナビゲーションするシステムである。CTの3Dデータと超音波画像を位置合わせして,同じ断面を表示することができるが,eSie Fusion Imagingでは“オート”で位置合わせできるのが特長で,ボリュームデータとプローブの磁気センサのxyz軸を設定して簡単なスキャンをするだけで,解剖学的なポイントを自動的に判断して位置合わせを行うことが可能だ。そのほか,穿刺の際の“eSieGuide Needle Tracking”なども紹介した。
また,新製品として「ACUSON P300」を出展した。POC(Point of Care)としてベッドサイドで使用できるポータブルタイプの製品で,Bモード,カラードプラ,パルスドプラの基本機能に絞って搭載し,高性能を簡単にワンタッチで利用できるようになっている。プローブはリニア,コンベックス,循環器用など全10種類をラインナップし広い領域で利用できる。なお,18MHzの高周波プローブによって表在・整形領域で高画質の検査が可能で,プローブポートを2つ用意し抜き差しすることなくスイッチによってプローブを切り替えて使えるなど,ポータブルでの使用に配慮した設計になっているのが特長だ。
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●X線:Artis zeegoのハイブリッドORと新開発ディテクタの「Artis Q」「Artis Q.zen」を展示
X線では,ロボット工学に着想を得て8軸関節で自在なアームの動きを実現する床置きタイプの血管撮影装置「Artis zeego」と,マッケ社の手術台「MAGNUS(マグナス)」を組み合わせた,血管内治療と外科的手術に対応するハイブリッド手術室向けの構成を提案した。手術台とシステムレベルで連携することで,Artis zeegoのアームの動きに完全に連動し,DynaCTなどの撮影にも対応する。アームは手術台に対して左側にオフセットで設置され,患者へのアプローチや機材設置の空間が確保されるほか,床置きのため,天井のシーリングライトや空調設備の設計も問題なく行え,手術環境をスムーズに支援できる。
また,ITEM初日に発表されたイメージングチェーンを一新した血管撮影装置の新ラインナップ「Artis Q」「Artis Q.zen」を,液晶モニタによる技術のプレゼンテーションと,製品のキー技術となる新世代X線管「GIGALIX」,低被ばく・高画質を実現した新機構「zen(zero electronic noise)」を搭載したフラットディテクタ(FD)を展示した。zenディテクタは,新しい素材である“crystalline silicon”を使った間接変換方式のパネルによって,ultra-low-dose(超低被ばく)での透視・撮影を可能にしている。
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●MR-PET:国内1号機稼働について,福島県立医科大学からの事例を報告
初日には,同社のMR-PETシステム「Biograph mMR」の日本での第1号機稼働について福島県立医科大学医学部放射線科教授の宍戸文男氏より「Biograph mMR導入の経緯と今後の期待」についてプレスセミナー第2部で特別講演が行われた。福島県立医科大学では,福島第一原発事故を受けて福島県民の健康管理調査や人材育成,産業振興などを目的として組織された「ふくしま国際医療科学センター」の施設の1つとして,同大学の核医学治療棟を改修して設立された先端臨床研究センターに,2012年12月にBiograph mMR(以下mMR)を導入した(同時にBiograph mCTも導入)。ボランティア撮影,3月からの自由診療を経て,4月から保険診療を開始した。宍戸氏はMRIとPETの同時撮像が可能なmMRの概要と有用性について説明し,同センターにおける今後の期待について,同時撮影やMRIによる被ばくの少ない検査のメリット,今後のがん診療や臨床研究への活用などを挙げた。
mMRは,3Tの強磁場の中でも撮像可能なPET検出器を開発することで,MRIとPETの信号を同時に撮影できる唯一の装置となっている。その「同時撮影」の先進性と有用性が認められて,「新機能、新技術」のC2区分として4月から保険適用された。
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