ITEM2013 AZE ブースレポート
「新時代の幕開け」をテーマに,日常の読影を支援するボリュームレジストレーションビューア「AZE Phoenix」やMRI解析ソフトウエアなどを紹介
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2013-4-19
AZEブース
AZEは,「新時代の幕開け」をテーマに,日本の起源である邪馬台国をイメージしたブースで来場者を迎えた。同社の技術が医療画像の世界にイノベーションを起こし,日本から世界へ,そして次世代へと革新が広がっていく新しい時代の到来を期待する思いが込められている。光の差す天の岩戸をかたどったブース中央のメインステージでは,多彩なプログラムのプレゼンテーションが行われ,ブース正面の大型LEDモニタでもライブ上映が行われた。
ブースでは,社長自ら開発にもかかわるなど,開発に力を入れたボリュームレジストレーションビューア「Phoenix」を中心に,機能強化や新開発した多彩なソフトウエアを紹介した。
畦元将吾代表取締役社長は,「AZEは,4月14日の設立記念日で15年目を迎えます。この区切りの年に,今まで積み重ねてきたノウハウとお客様からの信頼を原点とし,新たな気持ちで邁進していきます。お客様に育てられた会社なので,こらからもお客様のご意見を宝物として取り組んでいきます」と話した。
また,4月より機器の設置や保守などのサービスをより充実させるため,各種サービス業務は株式会社TAS(代表:相澤光広氏)での実施をスタートさせている。なお,ユーザー側としては,特にサービスの利用方法などに変更はなく,サポートを受けることができる。
また,最終日となる14日(日)には,日本医学放射線学会総会共催のランチョンセミナーが開催され,大友 邦氏(東京大学医学部附属病院放射線科教授)の司会進行のもと,三木聡一郎氏(東京大学医学部附属病院コンピュータ画像診断学/予防医学講座特任助教)による「開いて,並べて,読む~読影時間を少しでも縮めるためビューアにできること~」と,片平和博氏(国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院放射線診断科部長)による「AZE Workstation最近の進歩ー臨床に役立つ新機能についてー」が行われた。(4月12日取材)
●ヘルスケアIT:ストレスフリーな読影環境を実現するボリュームレジストレーションビューア「Phoenix」
AZEが,“解析可能な3D読影システム”と位置づけるボリュームレジストレーションビューアPhoenixは,増え続ける読影医の負担を軽減し,読影精度を上げるために,東京大学医学部附属病院との共同研究・開発により,製品化された。読影やデータ比較に特化した最新技術を応用し,高速に読影を行えるようにビューアの性能を高めただけでなく,ボリュームレジストレーションやRECIST計測といった,解析機能も実装。Phoenixにより,ストレスの多い読影環境を大きく変えることができ,読影医はストレスなく,かつ高い精度で,日常の読影業務に取り組むことができる。
現場の声を反映し,読影時にもっともストレスとなる読影準備の時間短縮を徹底的に追究。画像の呼び出し・表示,シリーズの並べ替え,比較するスライスの位置合わせなどをシンプルなステップで行えるようにした。
スマートレイアウト機能では,ウィンドウの分割を直感的な操作で行うことができ,データ種類や日付,スタディなど,さまざまな画像を任意に配置でき,それぞれの読影医が最適なレイアウトで読影できる。また,近年はMRIなどは1検査で20シリーズ撮像するようなケースも増えてきている。そこで,ウィンドウに数多く表示された画像のなかから,迷いなく目的の画像を見つけるために開発したのが,スマートタグ機能である。モダリティ別,スライス厚,画像の種類,他院での撮像画像など,任意で決めたタグを画像に登録することで,一目で画像の種類を把握することができる。画面左に並ぶタグをクリックすれば,目的の画像だけを呼び出すこともできる。
独自の技術により開発されたボリュームレジストレーション機能により,比較する画像のボリュームデータを瞬時に作成して,角度を合わせて同じスライスを切り出すという方法で,高精度な断面位置合わせが可能となっている。RECIST計測機能では,「RECISTガイドライン」に基づいた固形がんの治療効果判定をサポートする。
また,同社のワークステーション「AZE VirtualPlace」とリンクさせることで,さらに高度な解析もストレスなく行うことができる。
なお,米国においてもFDAより承認を取得ずみで,今後はハーバード大学やジョンズ・ホプキンス大学で評価を行っていく予定だという。
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●ソフトウエア:診療報酬加算の対象となるソフトウエアの強化に加え,MRIを中心に新ソフトウエアも紹介
ソフトウエアとしては,診療報酬加算の対象となる心臓,肝臓,大腸の解析機能の強化に加え,新しくMRI用の解析ソフトウエアなどが紹介された。これらのソフトウエアは,同社のワークステーション「AZE VirtualPlace 風神/雷神」「AZE VirtualPlace 新」へ搭載可能である。
◆大腸解析
米国で普及しているCTコロノグラフィ(CTC)検査は,JRCをはじめさまざまな機会にハンズオントレーニングが行われていることからもわかるように,日本においても注目されはじめている。大腸解析では,1クリックですべての経路を抽出でき,仮想内視鏡画像でポリープや憩室の有無を詳細に観察できる。この仮想内視鏡モードは,従来は透視投影が180°までだったが,新しく魚眼モードを搭載し,360°までの広視野で観察できるようになった。ひだの裏側まで観察することができるため,1方向の観察で,全体をチェックすることができる。さらに,腸管を展開図で確認することで,見落としを防ぐことができる。展開図は,腸管の径に補正しているので,歪みの少ない画像となっている。また,ポリープ近傍を切り出して3D表示する機能も搭載したほか,MPRによる詳細な観察やMIPで造影血管の走行なども観察もでき,精度の高い読影ができると期待される。
さらに今回,ノイズ低減フィルタを新しく搭載した。検診の低線量の画像であってもクリアな原画像に変換でき,検出能を下げることなく読影できる。
◆“新・CT細血管解析” 冠動脈バイパスグラフト解析機能
冠動脈バイパスグラフト解析機能が新しくなり,さらに機能が追加された。日本循環器学会の「冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン」に示されている,CTによる冠動脈バイパス術後評価のひとつである,グラフトの吻合部評価が容易に行えるようになった。数クリックで,すべてのバイパス血管の起始部から末梢までを高速に抽出することができる。また,分岐検索機能も搭載したことで,Y−composite型など多様なグラフトを血管の分岐として表示することが可能となった。画像上でダブルクリックをするだけで吻合部にリンクするため,読影の準備にかかる時間を短縮することができる。
◆3Dマッピング
今春にリリースした新機能3Dマッピングでは,MRI画像を解析し,関節軟骨の変性の程度を視覚的に評価できる。T1,T2,T1ρの緩和時間を計算し,差分をカラー表示することで,組織の変性の程度を表現する。また,独自の手法で作成した3Dモデルに計測した緩和時間や軟骨厚を投影することで,どの部分がどの程度変性しているかを立体的に把握することができる。
臨床応用としては,初期診断が重要な関節リウマチの診断において,従来は,遅延造影MRIでの測定が必要であったのに対し,この機能により,非侵襲的に組織変性を測定することが可能となる。
◆タギング解析(W.I.P.)
タギング解析では,MRIの心筋にタグパルスを打ち込んで計算することで,心筋の収縮,スキージング(ねじれ)の定量化を可能にした。心筋の内膜・外膜をトレースすると,自動的に心筋の情報を取得し,高速に計算する。新しくベクトルフローマップも開発し,心筋の動きが局所的にどの方向に向いているかを矢印で表示することで,どの部分の運動機能が落ちているかを把握しやすい。
◆DTI解析
DTI解析では,MRIによる水分子拡散を強調する撮影法を応用することで,神経錐体路の走行を推定することができる。データを読み込むと,自動的にDTI変換が行われ,テンソルのスカラーとベクトルマップが作成される。任意のROIを指定すると,そのROIからの錐体路の走行を推定することができる。
また,神経錐体路のライン表示を,前後の奥行きがわかりやすいチューブ表示に変えることができ,派生しているROIや,それぞれの走行の位置関係を把握することができるようになった。さらに,他の画像データとのフュージョンも可能で,MRAのボリューム表示を加えて,血管走行と神経錐体路を合わせた画像の表示や,T2や造影画像,CT,PETなどの機能画像ともフュージョンできる。
◆多次元解析(W.I.P.)
RSNA2012で発表したDual Source CTの解析ソフトウエアである多次元解析の新機能として,3種の物質を推定して抜き出すことができる,3-material法が可能となった。Dual Sourceで撮影されたヒストグラムから作成できるヨードマップでは,造影効果の強弱が確認でき,例えば,「繊維化により取り込みが弱い」「取り込みが強く腫瘍の悪性度が高い」といったことを推定できる。また,筋肉浸潤の有無も確認できるといったことが期待される。
◆Computed DWI(W.I.P.)
Computed DWIは,2つのB値(B=0やB=500など)のデータを読み込むと,任意のB値のデータを作ることができる,近年注目されるDWI画像の構築方法である。例えば,前立腺がんはB=2000で撮像すると良いと言われているが,実際にはB値を高く設定するほどノイズの影響が強くなると言われている。そこで,Computed DWIで解析することで,ノイズ量を増やすことなく,高いB値の画像を得ることができる。
●AZE展2013の応募作品,入賞作品を紹介
ブースでは,毎年恒例の「AZE展2013」への応募作と,入賞作品(一次審査)がパネルで紹介された。最終選考会(口演)は,6月8日に東京国際フォーラムで開催され,最優秀賞,優秀賞,特別賞,入選作品が決まる。
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お問い合わせ先:
株式会社AZE
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FAX 03-3212-7722
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