「MegaOak/iS　AIメディカルアシスト」の画面（開発中）

NECは，「医師の働き方改革」への貢献に向けて，医療文書の作成を支援する生成AIを搭載した電子カルテシステム「MegaOak/iS（メガオーク アイエス）」の販売を，2024年4月より開始する。生成AIを搭載した電子カルテシステムの販売は国内初^（注1）となる。
今回新たに搭載する医療機関向け生成AI「MegaOak/iS　AIメディカルアシスト」^（注2）は，生成AIの1つである大規模言語モデル（Large Language Model：LLM）を用いている。第一弾として，電子カルテに記載の診療情報をもとに，診療情報提供書（紹介状）と退院サマリ^（注3）に活用できる文章案を自動生成する。また今後，クラウドセキュア接続サービス^（注4）を介して，「MegaOak/iS」以外の電子カルテシステムを導入している医療機関でも利用可能とする予定。

背景

少子高齢化による労働力の減少が進む昨今，医療現場でも人手不足が深刻化しており，医師や看護師への負担が増大している。一方で2024年4月には「医師の働き方改革」の新制度が施行され，勤務医の時間外労働時間に上限が設けられる。医療現場では業務効率化がこれまで以上に重要になり，特に最新技術である生成AIの活用など，DX化の検討が進んでいる。

「MegaOak/iS　AIメディカルアシスト」の機能概要

本機能は，電子カルテに記載の診療情報を経過・検査・処方などに分類・時系列に整理し，重要なキーワードをピックアップした上で，キーワードをもとに要約文章を生成する一連の処理をクラウド上で行う。事前に行った実証^（注5）の結果，医療文書に記載する要約文章を新規作成する場合と比較して，作成時間を平均47%削減でき，表現や正確性についても医師から高い評価を受けた。

生成された要約文章は，引用元である電子カルテの記載内容を関連付けて表示しているため，医師がエビデンスを効率的に確認することが可能であり，ハルシネーションと呼ばれる生成AIの正確性や信頼性の問題への対策になる。また，「MegaOak/iS」の電子カルテ画面からシームレスに連携し文章を生成できるため，スムーズな操作を実現している。さらに，今後電子カルテシステムと各種クラウドサービスをセキュアに接続する「MegaOak Cloud Gateway」を用いることで，「MegaOak/iS」以外の電子カルテシステムを利用しているお客様でも利用可能とする予定。

価格

「MegaOak/iS」パッケージ標準価格：7,200万円～（税抜）
「MegaOak/iS　AIメディカルアシスト」オプション機能利用料：5万円～（月額，税抜）

※利用には初期費用がかかる場合がある。

今後の展開

NECは生成AIを搭載した電子カルテシステム「MegaOak/iS」について，2028年度までに医療機関100施設での利用を目指す。今後は，生成できる文書の種類を増やし，医師だけでなくすべての医療従事者の業務負担軽減に貢献していく。また将来的には，最適なタイミングで文書を自動生成しプッシュ型で提案するなど，AIと電子カルテシステムをシームレスに連携し，医療DXによる医療従事者の働き方改革をアシストしていく。

^{（注1）NEC調べ。
（注2）利用にはクラウドセキュア接続サービス「MegaOak Cloud Gateway」の導入が必要。
（注3）退院サマリ：入院患者の病歴，入院時の身体および検査所見，入院中に受けた診療内容などについての要約書。診療内容の検証や退院後の外来診療などにおいて，主治医以外の医療従事者が，入院中の治療や診断情報を把握するために重要な記録。
（注4）クラウドセキュア接続サービス「MegaOak Cloud Gateway」について：
https://jpn.nec.com/medical_healthcare/cloudgateway/index.html
（注5）2023年12月13日プレスリリース「NEC，東北大学病院，橋本市民病院，「医師の働き方改革」に向けて，医療現場におけるLLM活用の有効性を実証」
https://jpn.nec.com/press/202312/20231213_01.html}