NEC,インフルエンザを対象としたユニバーサルワクチンの設計技術開発がAMEDの令和5年度「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」に採択
~最先端AIを活用し,広範なウイルス種に有効なワクチン開発を目指す~
2023-9-14
NECは,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のワクチン開発・生産体制強化戦略関連事業である先進的研究開発戦略センター(SCARDA)による令和5年度「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」に,研究開発課題「計算科学を用いたユニバーサルワクチン設計技術の開発」で応募し,採択された(注)。本研究では,複数の最先端AIを活用して広範なインフルエンザウイルス種に有効な免疫原性領域を特定し,ユニバーサルワクチンを設計する。
背景
将来の世界的大流行(パンデミック)への対応策として,変異するウイルスに広範に効く「ユニバーサルワクチン」の研究が各国で進んでいる。しかし,ユニバーサルワクチンの実用化には長い期間が必要となるため,AIなどの計算科学の活用によるワクチン開発期間の短縮やコスト削減が期待されている。
日本では,2021年6月にワクチンの国内開発・生産に長期継続的に取り組む国家戦略として「ワクチン開発・生産体制強化戦略」が策定された。2022年3月にはAMED内にSCARDAが設置され,平時からのワクチンの研究開発と生産体制の強化を目指して,戦略的なファンディングを行っている。
本研究の概要
NECは,AIを活用したユニバーサルワクチン設計技術の開発を目指してSCARDAの一般公募に応募し,異分野参入促進型の研究開発課題として採択された。
本研究では,インフルエンザウイルスを対象に,複数の最先端AIを用いた独自のコンピューター解析技術を活用してユニバーサルワクチンを設計する。対象は,現在の季節性インフルエンザに加え将来パンデミックのリスクがあるとされる新型インフルエンザも視野に,広範なウイルス種に有効な免疫原性領域を探索・特定して検証実験を行う。その後,検証実験の結果を踏まえ,プロジェクト開始から1年以内でワクチンの設計までを完了し,非臨床POCの取得を目指す。
なお本研究は,高知大学特任教授の宇高 恵子氏と連携し実施する。
今後について
本研究では,コンピューター解析技術を活用してワクチンとして有効なタンパク質領域の特定までを行う。その後は本研究の結果を踏まえ,モダリティ技術を持つパートナー企業との協業を通じて,ユニバーサルワクチンとしての開発・実用化を目指す。
本件に関する各者のコメントは以下の通り。
SCARDAの本公募に採択され,官民学が連携しユニバーサルワクチンの開発に取り組めることを大変嬉しく存じます。ワクチンの早期開発が期待される中,AI技術をはじめとする計算科学は非常に重要であり,日本の医薬品産業へ貢献できます。NECグループはこれからも最先端の技術を活用して,より良いワクチンを提供しグローバルヘルスに貢献していきます。
NEC Corporate SVP 兼 ヘルスケア・ライフサイエンス事業部門長
北瀬 聖光 氏
NECとは「悪性腫瘍に対するペプチド免疫療法の開発」でも長年連携しており,今回SCARDAに採択されたインフルエンザウイルスを対象としたユニバーサルワクチン開発でも連携出来ること大変楽しみにしております。AIとICTを活用することで,よりよいワクチン開発とパンデミックの早期対策への貢献を期待します。
国立大学法人高知大学 医学部免疫学教室特任教授
宇高 恵子 氏
(注)AMED 令和5年度 「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」の採択課題について
https://www.amed.go.jp/koubo/21/02/2102C_00004.html
●問い合わせ先
NEC AI創薬統括部
E-Mail:[email protected]