ジョンソン・エンド・ジョンソン,カテーテルアブレーション※1における症例クラウドデータマネジメントシステム 「CARTONET®」の提供を開始
デジタルテクノロジーの活用で医師の臨床研究や手技向上をサポートし,医療の質の向上を目指す
2022-10-17
ジョンソン・エンド・ジョンソン(株) メディカル カンパニーのバイオセンス ウェブスター事業部は,カテーテルアブレーションにおける症例クラウドデータマネジメントシステム「CARTONET®」の提供を2022年11月より開始予定である。
CARTONET®は,医師の臨床研究やリサーチ活動をサポートするため,「データアクセシビリティ」「症例解析機能」「リサーチサポート機能」という3つの特徴を備えた総合的なデータマネジメントシステム。
バイオセンス ウェブスター事業部が販売している不整脈診断・治療機器モジュール「バイオセンスCARTO 3※2」を導入している医療機関は,このCARTONET®クラウド管理システムを利用することによって,カテーテルアブレーション治療の膨大な症例データをより効率よく解析できるようになる。カテーテルアブレーション治療の症例データをクラウド上で一元管理できるだけでなく,ダッシュボード形式で症例集積データの解析が可能になる。また,アブレーション治療における実際の手技をレトロスペクティブ※3に検証できるほか,すべてのデータは自動的に直接個人を識別できない形に加工・処理され,強固なセキュリティ環境下で使用できる。さらに,医療の現場では,臨床上で知り得た情報やデータを論文にまとめ発表することで,あらゆる医療従事者と知見を共有することが医療の発展において欠かすことのできない重要な活動の一つ。CARTONET®の導入により,このようなエビデンス構築のための論文執筆などで多くのデータ分析が必要な際には,CARTONET®を使用する施設間でのデータ共有も可能となる。
本システムは,2022年6月より複数の医療施設でパイロット導入を行っている。この活用事例をもとに,一部施設で2022年11月よりサービス提供を開始し,2023年1月からの全国展開を予定している。
同社では,メドテックのリーディングカンパニーとして,CARTONET®を通じた循環器分野での症例データ活用の基盤を築くことで,日本の臨床研究活動をより加速させ,より多くの患者さんの健康回復を目指す。また,医師の働き方改革が進められる中※4,医師の作業効率向上と業務負荷軽減に,データ活用効率化の側面から貢献する。
<CARTONET® 3つの特徴>
1. データアクセシビリティ(クラウドでの症例管理)
・インターネット環境があれば,どこからでもCARTONET®にアクセスし,閲覧や編集が可能
・CARTONET®上でMapping データの動画や画像を撮影し,ダウンロードやシェアすることが可能
・過去の症例でもCARTONET®上であれば再解析が可能
2. 症例解析機能
●膨大なデータの効率的な分析
・CARTONET®にアップロードした症例データを自動解析し,ダッシュボード上にグラフでの可視化が可能
・任意のパラメータ選択で効果的な分析が可能で,新たなインサイトの発見をサポート
●PV-reconnection※5(通電不十分)の可能性がある箇所をレトロスペクティブに解析
・独自のマシーンラーニングモデルを活用することで,PV-reconnectionの可能性がある箇所を自動で解析
・通電情報の詳細が確認でき,効率的なレトロスペクティブ解析をサポート
<参考:CARTONET®のカテーテルアブレーション解析>
マシーンラーニングによるレトロスペクティブ解析により,カテーテルアブレーション治療後の再発可能性が示され,治療精度の向上が期待できる。
下写真: PVI(肺静脈隔離術)のレトロスペクティブ解析
3. リサーチサポート機能
●データセットごとの簡便なデータ解析プロセス
・CARTONET®上で研究に必要なデータセットを「Research」としフォーム登録ができ,一元管理が可能
・Researchに必要な情報は手入力でCARTONET®上に追加登録可能
●論文データの一元化と共有
・症例データを特定のユーザーと共有可能
・多施設間と共有のプラットフォームを作成でき,症例共有,データの一括管理によって効率的な解析が可能
<強固なセキュリティ>
「バイオセンスCARTO 3」から症例データをエクスポートし,提携する医療クラウドプラットフォーム上のCARTONET®専用クラウドサーバーへ症例データをアップロードすることで,強固なセキュリティ環境下での症例保存が可能。
・ CARTONET®は国際基準ISO29001を取得
・症例データをCARTONET®にアップロードする際に患者個人が直接特定できる情報が削除される仕様により,個人情報の漏洩を防止
■ 国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 循環制御内科学分野
笹野哲郎 氏 コメント(2022年6月よりパイロット導入し製品評価を実施中)
当院循環器内科ではCARTONET®を使用することで,医師が時間や場所を選ばず症例レビューが可能なため,CARTONET®導入前と比較して解析業務の効率化が期待できます。他施設との共同分析が容易になる点も魅力的です。また,「症例解析機能」により自身の手技の「癖」を少ない症例数からでも把握できるため,経験値に依存することなく,これまで以上のスピードで手技向上・精度向上が目指せるので,今後,経験を積むべき医師に対する教育指導用ツールとしても役立ちます。当院循環器内科では今後,このCARTONET®を活用し,エビデンスの精度を高め,日本発の臨床研究をより積極的に行っていきたいと考えています。
■ジョンソン・エンド・ジョンソン(株) メディカル カンパニー
バイオセンス ウェブスター事業部 バイスプレジデント 大多和裕志氏 コメント
近年,医療現場における医師の負荷増大が課題となっており,新型コロナウイルスの流行をきっかけに,今までより一層重要視されるようになりました。私たちは,循環器の分野でいち早く医療DXを実現するシステムを提供することで,この課題解決の一助となることを目指しています。そして医療の質の向上に向けた環境構築を促進することで,患者さんが健康を取り戻し,幸せな人生を送ることに貢献できることを願っています。
当社は今後も,循環器領域のリーディングカンパニーとして,医療従事者の多様なニーズにきめ細かく対応するべく,デジタルソリューションを推進し,カテーテルアブレーション治療の発展に貢献していきます。
※1:カテーテルアブレーション:カテーテルという細い管を血管経由で心臓に挿入し,不整脈の原因となっている異常部位を焼灼(しょうしゃく)することで,心臓の動きを正常に戻す治療法。
※2:「バイオセンスCARTO 3」(医療機器承認番号:22200BZX00741000)は,心臓内の電気生理学的情報と3次元の解剖学的情報をシステム上でリアルタイムに統合した3Dマッピング画像を生成し,頻脈性不整脈の診断から治療までをサポートする医療機器。磁界と電界を利用した「ACL Advanced Catheter Location テクノロジー」により,心臓内に挿入した電極カテーテルを画面上で視覚化することで,術者のカテーテル操作を支援する。システムに対応する治療用カテーテルを用いることで,頻脈性不整脈のカテーテルアブレーション治療を支援する。また,同社が提供する最新のモジュールのインストール,また周辺ツールの導入で,最新のマッピングテクノロジーを使用することができる。
※3:検証,研究を開始した時点から過去にさかのぼって情報収集すること。
※4:厚生労働省. 第17回医師の働き方改革の推進に関する検討会. 資料1「医師の働き方改革に関する政省令等について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000900463.pdf
(参照 2022年9月9日)
※5:不整脈の原因となっている異常部位を焼灼(しょうしゃく)することで,心臓の動きを正常に戻すカテーテルアブレーションにおいて,通電不十分により焼灼が不完全であると,再発する可能性がある。
●問い合わせ先
ジョンソン・エンド・ジョンソン(株) メディカル カンパニー
コミュニケーション & パブリックアフェアーズ
TEL 03-4411-7155
Email: [email protected]