サイバネットシステム,AIを搭載した大腸内視鏡画像診断支援プログラム「EndoBRAIN®-EYE」,機能強化バージョンが医薬品医療機器等法(薬機法)一部変更承認取得
AIの追加学習や病変位置を特定する新機能などのユーザビリティを強化し,病変の発見精度をさらに向上
2021-4-20
サイバネットシステム(株)(以下「サイバネット」)は,人工知能(AI)(※1)を用いて大腸内視鏡診断における病変の検出を支援するソフトウェア「EndoBRAIN®-EYE(エンドブレインアイ)」の機能強化を実施し2021年3月29日に一部変更申請の承認を取得した。
■ EndoBRAIN®-EYE とは
オリンパス(株)(以下オリンパス社)製の汎用型大腸内視鏡で撮影された画像をAIが解析し,病変を検出すると警告を発して医師による病変の発見を補助するソフトウェア。昭和大学横浜市北部病院消化器センターの工藤進英教授,名古屋大学大学院情報学研究科の森健策教授らのグループと共同で開発され,2020年に医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」(※2)に基づき,クラスII・管理医療機器(※3)として承認(医療機器承認番号30200BZX00208000)された。
●今回強化された主な機能
■ 病変の発見に寄与するユーザーインターフェースの強化
・病変位置の矩形表示
医師の内視鏡観察中にAIが病変を検出すると,従来は音と画面上の色によって医師に警告を発していた。今回の機能強化により,AIが病変を検出すると,四角形で病変位置を囲みリアルタイムでその位置を表示することが可能になった。これによって病変位置の特定が容易になり,発見精度がより高まることが期待できる。
・スピードメーター
大腸観察中に表示される内視鏡画像の移動スピードを計測してメーター表示させる機能。速すぎると判断した場合は警告音を発し,本ソフトウェアに適したスピードを促す。
■ AIの機械学習用の内視鏡画像の追加による精度向上
AIに学習させる内視鏡画像枚数を増やしたことにより,感度は96%,特異度は94%(※4)と,更に高い精度を達成した。
なお,機械学習用の内視鏡画像は,昭和大学横浜市北部病院,国立がん研究センター中央病院,東京医科歯科大学医学部附属病院,公益財団法人がん研究会有明病院,静岡県立静岡がんセンターから提供を受けている。
その他,以下のような点が強化されている。
・AIの解析に適さない観察条件の自動認識機能の追加
内視鏡画像が,AIの解析に適さない画像(※5)と判断された場合,AIの検出支援機能が自動的にオフになる。
・対応する内視鏡システムの追加
従来の機種に加え,オリンパス社製ビデオシステムセンターEVIS X1,ビデオ軟性大腸鏡CF-EZ1500D シリーズ,PCF-PQ260 シリーズが新たに対応機種として追加された。
●『EndoBRAIN®』シリーズのラインナップ
「EndoBRAIN®」シリーズは,大腸内視鏡検査における病変の検出・鑑別から治療方法の選択までの一連の工程をAIで包括的に支援し,医師による病変の診断予測を補助するソフトウェア群。
大腸癌は,近年日本の癌による死亡数2位(※6)と増加傾向にある。最新のAIと内視鏡技術で,内視鏡検査に携わる医療従事者の負担軽減に一層寄与できるよう,今後も製品開発・改良に力を入れていく予定。
EndoBRAIN®シリーズの詳細については,下記Webサイト参照。
https://www.cybernet.co.jp/medical-imaging/products/endobrain/
【注釈】
※1:人工知能(AI):EndoBRAIN®-EYE が採用しているAIはディープラーニングと呼ばれる機械学習の一種であり,市販後に自ら学習を繰り返して性能が向上するタイプのAIではない。
※2:医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法):薬機法ともよばれる法律で,医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器および再生医療等製品の品質,有効性および安全性を確保し,医療機器の安全対策強化や,医薬品・医療機器・再生医療等製品などの承認・規制を目的とするもの。この法律では診断・治療を目的としたソフトウェアも対象となる。
※3:医療機器は多種多様であるため,患者に与えるリスクに応じて,一般医療機器(クラスⅠ),管理医療機器(クラスⅡ),ならびに高度管理医療機器(クラスⅢとクラスⅣ)に分類されている。クラスII・管理医療機器は不具合が生じた場合でも,人体へのリスクが比較的低いと考えられるもので,レントゲン撮影装置や心電計,注射針,さらにはEndoBRAIN®-EYE のような一部の診断支援プログラムが該当する。
※4:「感度」・「特異度」:感度とは画像中に病変があり,AIが正しく病変の位置まで推定できた画像の割合であり,特異度とは画像中に病変がないときにAIが正しく病変がないと判定する画像の割合である。つまり感度が高ければ高いほどAIによる見落としが減り,特異度が高ければ高いほど誤検出が減ることを意味する。
※5:AI解析に適さない画像:以下のように定義されている:
・腸管管腔(※7)が正しく認識できない画像
・超拡大内視鏡の画像
・色素散布中の画像
・NBI(※8)(Narrow-band imaging:狭帯域光観察)画像
※6:大腸癌による男女合計の死亡者数2位:国立がん研究センターが発表する2021年2月10日付「最新がん統計“2019年の死亡数が多い部位”」がん情報サービス統計値(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
)より。
※7:腸管管腔:腸内器官の内側の空間
※8:NBI(Narrow Band Imaging):狭帯域光観察。オリンパス社の登録商標で,血液中のヘモグロビンに吸収されやすい2つの狭帯域の光を照射することで,粘膜表面の微細な血管やその模様が強調表示される観察方法。
●問い合わせ先
サイバネットシステム(株)
医療ビジュアリゼーション部/須貝
E-MAIL:[email protected]
https://www.cybernet.co.jp/