エルピクセル,AI(人工知能)を活用した「小児白血病診断支援システム」,国立成育医療研究センターと共同研究を開始
より正確な診断や治療反応評価を行い,小児白血病の治療率向上と晩期合併症軽減に寄与
2021-3-31
エルピクセル(株)は,国立成育医療研究センターと,AI(人工知能)を活用した小児白血病診断支援システムの共同研究を開始した。
本研究では,国立成育医療研究センターや他の共同研究施設が臨床研究などを通じて収集した診断情報を元に,エルピクセルが医療AI・創薬AI開発で培ってきた技術を活用し,小児白血病の診断支援システムの構築を目指す。本診断支援システムは,小児白血病の診断に用いられる骨髄塗抹標本検査において,目視では捉えきれなかった血液細胞の特徴をとらえ,より正確な診断や治療反応性の評価を可能にすることで,白血病の治癒率向上と再発率低下への寄与を目指す。
【研究背景】
血液がんである小児白血病は,小児期に発症するがんとしては最多で,1年間におよそ700-800人が発症(1)する。近年,小児白血病は,治療薬(化学療法)や治療法(層別化治療)の発展により,5年生存率が8割を超えるなど治療成績が向上している(2)。こうした一方で,治癒率には未だ改善の余地がある上,長期的な合併症(晩期合併症)を軽減することの重要性も注目されている。
このため,白血病の分類と治療反応をより正確に評価し,それぞれの患者に最適な治療法を選択することが重要である。
(1) 国立成育医療研究センターHP「白血病|小児がん」
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/leukemia.html#section2
(2) がんの統計編集委員会編「がんの統計‘19」(がん研究振興財団)
https://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/2019/cancer_statistics_2019_fig_J.pdf
【研究概要】
● 研究名称
人工知能による小児造血器疾患診断支援の実施可能性に関する研究
● 研究実施者
研究責任者:国立成育医療研究センター 小児がんセンター 小児がんゲノム診療科 診療部長 加藤元博 医師
共同研究者:国立成育医療研究センター 小児がん免疫診断科 診療部長 出口隆生 医師
● 研究内容
国立成育医療研究センターならびに共同研究施設が臨床研究を通じて収集した骨髄塗抹標本検査の検査情報と結果を,エルピクセルが研究・開発する画像解析AIに学習させることで,小児白血病診断支援システムの開発を目指す。
※ 骨髄塗抹標本検査
造血の場である骨髄液から採取した骨髄塗抹標本を顕微鏡で観察し,血液中の細胞の分化や異常細胞(がん細胞など)の有無を確認する。
【期待される成果】
● 診断医の負担軽減
小児白血病を含む血液がんでは骨髄塗抹標本を用いて診断が行われる。顕微鏡を用いた目視による鑑別が行われるが,その鑑別には高度な知識と経験が求められる。こうした鑑別の定量化と効率化によって,診断医の負担軽減が期待される。
● より有用な白血病の病型分類法確立
これまでの骨髄塗抹標本検査では,専門医による形態的な分類と,その他の検査を総合して白血病の病型分類を行い,治療法を決めていた。こうした検査をAI診断支援システムに置き換えることで,従来の目視では気づかない分類の実現が期待される。より正確な分類を行うことで,適切な治療選択が可能となり,治癒率のさらなる向上と晩期合併症の軽減の双方の達成につながる。
【AI画像診断支援技術「EIRL(エイル)」について】
高度化するモダリティとともに,医療画像診断の作業は膨大化している。AIを活用した独自のアルゴリズムによって,脳MRI,胸部X線などの医療画像情報を解析し,効率的で,正確な診断が出来る環境の提供を目指す。
EIRLプロダクトサイト(医療従事者向け):https://eirl.ai/ja/
【創薬を支援する画像解析AI「IMACEL(イマセル)」について】
近年,製薬企業様の創薬開発におけるAIの利活用が進んでいる。創薬プロセスにおいてAIを利活用することにより,人の認識と同等の性能や定量評価及び,人力では困難な量の作業の実行による効果測定の精緻化を可能にする。これまでアステラス製薬様,武田薬品工業様など大手製薬企業と研究実績を積み重ねてきた。
創薬の各プロセスにおける課題について,エルピクセルが誇る専門家集団が,実験デザインからAI学習に最適なデータ取得・収集方法をご提案し,一気通貫でサポートする。
IMACELプロダクトサイト:https://imacel.net
●問い合わせ先
エルピクセル(株) 広報担当
TEL:03-6259-1713
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