富士通,「平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において「科学技術賞」を3件受賞
2018-4-11
文部科学省が主催する「平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において,富士通(株)(注1)(以下,富士通)および(株)富士通研究所(注2)(以下,富士通研究所)は「大規模PCクラスタ構築技術の開発」で科学技術賞 開発部門を,富士通と(株)UT-Heart研究所(注3)は「心臓シミュレータによる臨床研究」で科学技術賞 研究部門を受賞した。また,富士通研究所は「次世代を担う青少年に向けたスパコンが拓く未来の理解増進」の取り組みにおいて科学技術賞 理解増進部門を受賞した。
文部科学省では,科学技術に関する研究開発,理解増進などにおいて顕著な成果を収めた者について,その功績を讃えることにより,科学技術に携わる者の意欲の向上を図り,我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とする科学技術分野の文部科学大臣表彰を定めている。今年の表彰式は,2018年4月17日(火曜日)に文部科学省にて行われる。
●受賞者および受賞技術
(受賞者の職制は4月10日現時点のもの。)
1.科学技術賞 開発部門:「大規模PCクラスタ構築技術の開発」
2.科学技術賞 研究部門:「心臓シミュレータによる臨床研究」
本部門は,科学技術分野において顕著な効果を挙げる可能性の高い,最近の独創的な研究を行った者を対象としている。
■受賞者:
渡邉 正宏(富士通 第二ヘルスケアソリューション事業本部 第三ソリューション事業部 第一ソリューション開発部 シニアマネージャー)
岩村 尚(富士通 第二ヘルスケアソリューション事業本部 第三ソリューション事業部 第一ソリューション開発部 マネージャー)
杉浦 清了(UT-Heart研究所 取締役社長)
概要:
重篤な心不全患者に対する心臓再同期療法(注4)(Cardiac Resynchronization Therapy,以下 CRT)で用いる特殊なペースメーカーは,高価である一方で約30%の患者に対して不応答(注5)(Non-Responder)であることが知られており,このペースメーカーの植え込み手術前に,効果を予測する技術が必要とされている。
本研究では,当研究グループが共同開発してきたマルチスケール・マルチフィジックス心臓シミュレータ(注6)を用い,患者個別の心臓シミュレーションを可能とした。これにより,臨床で得られる患者の心電図を正確にシミュレーションで再現し,さらにCRT適用前の患者データから特殊なペースメーカーの効果を高い精度で予測することに成功した。
本成果は,CRT適用前の効果を予測することで,Non-Responderによる医療費の損失(日本:年間52億円,米国:7千億円,同社調べ)を,大幅に削減できる日本発の医療ソリューションとして広く展開され,医療への寄与が期待される。
3.科学技術賞 理解増進部門:「次世代を担う青少年に向けたスパコンが拓く未来の理解増進」
注1 富士通株式会社:本社 東京都港区,代表取締役社長 田中達也。
注2 株式会社富士通研究所:本社 神奈川県川崎市,代表取締役社長 佐々木繁。
注3 株式会社UT-Heart研究所:本社 東京都世田谷区,取締役社長 杉浦清了。
注4 心臓再同期療法:Cardiac Resynchronization Therapy(CRT)。重度な心不全の患者に対して特殊なペースメーカーを植え込む治療方法。左右両心室の収縮のタイミングのずれを修正し,心臓の動きを改善する。
注5 不応答:Non-Responder。CRTを適用したにも関わらず,心臓の動きの回復が見られない状態。
注6 マルチスケール・マルチフィジックス心臓シミュレータ:心臓の拍動現象を構成する,電気-化学-力学現象(マルチフィジックス)およびタンパク質から臓器までの異なるスケール(マルチスケール)を解析対象とし,人間の仮想的な心臓をコンピュータ上に再現するシミュレータ。
●問い合わせ先
「大規模PCクラスタ構築技術の開発」「心臓シミュレータによる臨床研究」について
富士通(株)
法務・コンプライアンス・知的財産本部 知財R&D推進統括部
TEL 044-754-3049(直通)
メール [email protected]
om「次世代を担う青少年に向けたスパコンが拓く未来の理解増進」について
(株)富士通研究所
AI社会実装プロジェクト
TEL 044-754-2528(直通)
メール [email protected]