フィリップス,デジタルフォトンカウンティング技術を搭載した新型PET/CT装置「Vereos PET/CT」(ベリオス ペットシーティー)を発売
〜低被ばく・高画質・定量性のトレードオフを打破し,患者個々の状態を最適に反映したプレシジョンメディシンの実現を新次元融合画像がサポート〜
2017-10-4
Vereos PET/CTの装置外観
(株)フィリップス・ジャパン(以下 フィリップス)は,新型PET/CT装置(核医学診断用ポジトロンCT装置)「Vereos PET/CT」の販売を,10月4日より開始する。「PET検査に求められる,微細病変の早期発見〜確定診断,治療効果予測と効果判定,将来のリスク診断のための生体バイオマーカーとしての機能画像診断の役割はもとより,PET検査に今後大いに期待されるTheranosticsと呼ばれる診断と治療の融合までを妥協することなく達成したい」その想いをかたちに,フィリップスは新たなソリューションを提供する。
今回発売する「Vereos PET/CT」は,フィリップスが自社開発したデジタルフォトンカウンティング技術によるデジタル半導体(D-SiPM: Digital-Silicon Photomultiplier,デジタルSi−PM)検出器を搭載したフルデジタルPET/CT装置。
従来のPET装置の検出器には,アナログ素材で真空管の一種である光電子増倍管(PMT: Photo-multiplier Tube)が長らく用いられてきた。Vereos PET/CTでは,検出器にデジタル半導体を採用することで光電子増倍管を用いたPET装置に比べ検出精度を大幅に向上させ,アナログ由来のノイズ混入を排除することで,画像の分解能,システム感度と高い定量性を獲得した。
さらに検出器内部のブレイクスルーとして,クリスタルと半導体の受光面(素子)を完全に1:1で対応させる1 to 1カップリング方式を採用することで,従来方式では得られなかったより多くの信号成分を効率よく収集・活用することに成功した。
PET/CT装置のCT部分には,逐次近似応用画像再構成と金属アーチファクト低減再構成を実装した診断用64/128スライスCT装置を採用し,高速画像再構成が可能な精度の高いリコンストラクションユニットとPET/CTスキャナを新開発のユーザインターフェースで統合することで,ワークフローの改善と検査効率を追求した。
現在PET/CT 装置に求められる3要素である分解能(空間的/時間的),感度,定量性について全て2倍超(従来比)にスペックを改善し,画質/投与量/収集時間に妥協することなく臨床に求められるニーズに対してより戦略的なPET/CT検査を可能とし,近い将来の応用が待たれる新規PET製剤の基礎・臨床研究においてもインパクトのある貢献が期待される。
●Vereos PET/CTの特長
1. デジタルフォトンカウンティング技術
これまでシンチレーション光の検出は,検出器で捉えたアナログ信号のデジタル信号への変換(A/D変換)が必要であった。その際に発生するノイズや処理速度がシステムの課題とされていた。一方,デジタルフォトンカウンティング技術は1個のクリスタル4×4mm2あたり3200個のマイクロセルと呼ばれるデジタル半導体素子が無数のシンチレーション光を直接デジタル値としてカウントし,クリスタルのイベントを定義することで理想的なデジタル信号の検出と制御,数え落としの抑制と温度特性の改善までを可能としている。
2. 1 to 1カップリング方式
これまでの検出方式では,アンガーロジック(Anger-Logic)型と呼ばれる,クリスタル1個につき複数の検出器(1:7や検出器によっては1:数十)を用いて,数学的に当該シンチレーション光の重心演算により位置を特定する方式が主流であった。この方式では画像の歪みと空間分解能の劣化が課題として残っていた。デジタルSi−PM検出器ではクリスタル1個と半導体の受光面(素子)を完全に1:1で対応させることで,画像の歪み補正と位置演算を不要とし,クリスタルの寸法にほぼ等しい空間分解能を達成している。
3. 2倍超の感度,空間分解能,定量性向上による臨床への期待
デジタルSi−PM検出器の搭載でTime-of-Flight方式の時間分解能は345ピコ秒まで短縮され,PETに必要な感度,空間分解能,定量性ともに(従来比)2倍超のスペックアップを達成している。特にPET画像は画質のみならず,SUV(Standard Uptake Value:標準取り込み値)に代表される定量値の精度が求められる。ダイナミックレンジの改善により従来PETでのSUV値に比べて精度の高い定量を追及した。今後,デジタルPET/CTでのSUV値の検証やデータの蓄積によって,悪性度の判定,治療方針の決定や治療効果判定のみならず未知の病態解明などへの貢献が期待される。
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