ARIStation iSED(PSP)
医療被ばく線量管理,記録をサポート

2019-12-11

PSP

線量管理


はじめに

PSPは,2020年4月の医療法施行規則の改正による被ばく線量の管理,記録の義務化への対応を支援し,情報の統計や他システムとの連携による活用を実現する線量管理システム「ARIStation iSED(アリステーション アイセド)」を開発した。
ARIStation iSEDは,撮影装置,RIS,PACSのメーカーによらず被ばく線量情報を収集する。DICOM Radiation Dose Structured Report(RDSR)以外にも,線量情報画像(Dose Report,サマリー画像など)に埋め込まれた情報をOCR機能により読み取る場合もある。収集した情報は,プロトコル単位や検査記述単位など,さまざまな条件での集計・分析が可能であり,自由にプリセットを設定し必要な時にすぐに結果を参照することができる。

ARIStation iSEDの特長

本システムの特長のうち,いくつかを紹介したい。

1.DRL設定
医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)より公開されている診断参考レベル(以下,DRLs 2015)に沿って,年齢・体重・部位・プロトコル情報を指定したDRLの設定に対応している。実際のプロトコルの情報はDRLs 2015の分類より詳細であるため,プロトコルとDRLs 2015の対応づけが重要となる。ARIStation iSEDでは,この対応づけを簡便に行える機能を有している。
また,DRLの設定はDRLs 2015だけに限らず作成できるため,施設ごとの希望に合わせた条件や,2020年に予定されている診断参考レベル改訂への対応も可能な仕組みとなっている。

2.体格に応じた線量評価(SSDE)
size-specific dose estimates(SSDE)は米国医学物理学会(AAPM)から提案された線量評価手法であり,画像データから被検者の体格を計測し,CTDIvolをその体格に応じた線量に変換する。体格の変化の大きい小児CT検査では特に重要である。
ARIStation iSEDでは,アキシャル画像の画素サイズと画素値を用いて水等価直径を求め,精度良くSSDEを算出する方法を採用している。2019年7月に公開されたAAPM Task Group 293: Size-Specific Dose Estimate(SSDE)for Head CTにいち早く対応し,SSDEをスライス位置ごとに算出が行える(図1,2)。

図1 小児頭部SSDE解析表示 (青色:CTDIvol,黄色:SSDE) 位置決め画像上でカーソルを移動させることで,任意のスライス位置でのSSDE値を表示可能。

図1 小児頭部SSDE解析表示
(青色:CTDIvol,黄色:SSDE)
位置決め画像上でカーソルを移動させることで,任意のスライス位置でのSSDE値を表示可能。

 

図2 小児頭部CT検査における箱ひげ図表示 (上:CTDIvol,下:SSDE) 年齢区分(NICU,0~3歳未満,3~6歳未満,6歳~の4種類)ごとに箱ひげを表示。CTDIvolと比較し,SSDEでは6歳までの範囲で顕著な差は認められない結果を示す。

図2 小児頭部CT検査における箱ひげ図表示
(上:CTDIvol,下:SSDE)
年齢区分(NICU,0~3歳未満,3~6歳未満,6歳~の4種類)ごとに箱ひげを表示。CTDIvolと比較し,SSDEでは6歳までの範囲で顕著な差は認められない結果を示す。

 

3.使いやすい統計機能
統計プリセットを作成しておくことで,指定期間の結果をすぐに取得できる。統計条件の変更もシンプルな操作で行え,ユーザー自身でプリセットの更新や新規作成も容易である。1つの検査内に複数の部位が混在している場合には,画像情報をもとに各部位に分離して解析・統計を行うことも可能である(図3)。

図3 同一スタディ内で複数部位を撮影した場合の例 頭部,胸腹部に応じたSSDEが算出され,部位ごとに統計結果に反映できる。

図3 同一スタディ内で複数部位を撮影した場合の例 頭部,胸腹部に応じたSSDEが算出され,部位ごとに統計結果に反映できる。

 

結果は視覚的に見やすくヒストグラム,箱ひげ図などの形式で表示する。中央値,75パーセンタイル値,DRL値なども図表内に示し,感覚的に把握できる(図4)。気になるポイントを選択すれば,該当検査の詳細情報を確認することも可能である。血管撮影の線量表示においては,dose area product(DAP),リファレンスポイント線量(dose RP)および透視時間をグラフィカルに表示する。

図4 CTDIvolのヒストグラム表示

図4 CTDIvolのヒストグラム表示

 

〈謝辞〉本稿の執筆に当たって,図表のデータ提供をいただきました国立成育医療研究センターの宮嵜 治先生に感謝申し上げます。

 

●問い合わせ先
PSP株式会社 販売促進部
TEL 03-4346-3180
E-mail [email protected]

PSP

線量管理


(月刊インナービジョン2019年12月号 決定版!! 被ばく線量管理ケーススタディ)
ヘルスケアIT展(医療ITのバーチャル展示会)
    TOP