Session I CT Image Contest 2015 Japanese Edition
総評
2015-11-25
シーメンス・ジャパンが開催するCT Image Contest 2015 Japanese Editionは,“Best Clinical Outcome with Right Dose”,すなわち適切な線量で臨床における最大の成果を上げるCT画像をコンセプトに,以下の3つの審査基準を設け,5名の審査委員が厳正な審査を行いました。
(1) 画質と被ばくのバランス:画質を担保した上でのLow Doseの実現
(2) 臨床的有用性:病態を的確に描出し,治療法の選択において重要な指針となる,臨床現場で生まれた最も有用で必要とされる画像
(3) 理想のCT画像を撮影するための技術的取り組みと貢献
また,受賞カテゴリとして新たに,Exceeding Expected Performance of 1-16 MSCT/20-64MSCTを設けました。
審査の結果,クリニカルカテゴリ部門賞9名と最優秀賞(Best Overall)1名,およびExceeding Expected Performance of 20-64MSCT 1名が選出されました。「SOMATOM Symposium 2015」のSessionⅠにおいて,受賞者の表彰および発表が行われ,Right Doseを実現するための工夫に富んだ,すばらしいCT画像が紹介されました。
【対象機種】SOMATOM全ラインナップ
SOMATOM Sprit
SOMATOM Emotionシリーズ
SOMATOM Scope
SOMATOM Sensationシリーズ
SOMATOM Perspectiveシリーズ
SOMATOM Definition ASシリーズ
SOMATOM Definition Edge
SOMATOM Definition
SOMATOM Definition Flash
SOMATOM Force
その他SOMATOM CT
【対象カテゴリ】General,Cardio-Vascular,Neuro,Oncology,Dual Energy,
Pediatric,Emergency,Technical,Exceeding Expected Performance of 1-16 MSCT/ 20-64MSCT
【審査委員長総評】
今井 裕(東海大学医学部専門診療学系画像診断学)
CT Image Contest 2015では,画質と被ばくのバランスを考慮し,造影剤の投与方法も含めて,CT撮影におけるすべての技術を加味したCT画像とは何かということを,シーメンスが強く提唱する“Right Dose”というコンセプトに沿って考えていただきました。実際に応募されたすべての画像は,Right Doseの意味や医療におけるCT画像のあるべき姿を追究する姿勢が伝わってくるものでした。改めて気づかされることも多々あり,参加されたユーザーの皆さんにも,きっと多くのことを学んでいただけると思います。
【審査委員総評】
General
今井 裕(東海大学医学部専門診療学系画像診断学)
本ケースは,低線量かつ造影剤の減量も図りながら動きに強い撮影法を駆使して得られた,きわめて鮮明な心臓CT画像で,カテーテルアブレーション治療に必要な多くの情報が示されていたことが評価されました。
Cardio-Vascular
平野雅春(東京医科大学内科学第二講座)
Dual Source CTが最も威力を発揮するのが本部門であり,心臓の形態情報と機能情報,下肢の情報と,1回の検査で非常に多くの情報を引き出した本ケースが受賞しました。
Neuro
福田国彦(東京慈恵会医科大学放射線医学講座)
応募症例はいずれもレベルが高く,その中で受賞ケースは,脳動脈奇形の新生児に対し,低管電圧撮影にて造影剤量を抑制し,かつ被ばく線量を抑えて脳動脈奇形の血管解剖を明確に描出したことが評価されました。
Oncology
今井 裕(東海大学医学部専門診療学系画像診断学)
MRIでは磁化率アーチファクトにより評価困難な胸壁に対して,受賞ケースは4D Imagingを巧みに利用し,腫瘍浸潤の有無を描出した新しい試みです。腫瘍浸潤を動態撮影で描出し,誰でも簡単に診断可能な点も臨床的に大きな意義があると思います。
Dual Energy
内藤博昭(国立循環器病研究センター病院)
受賞ケースは,ヨードに注目し,特にリピオドール定量へのDual Energyの応用が斬新で,臨床研究への展開が期待できる点,被ばく量が妥当である点が評価されました。
Pediatric
内藤博昭(国立循環器病研究センター病院)
受賞ケースは,画像が非常に美しく診断的価値が高い点,造影剤の使用法や管電圧などに工夫がある点,妥当な低被ばく撮影と造影剤使用量が達成されていることが評価されました。
Emergency
福田国彦(東京慈恵会医科大学放射線医学講座)
深部静脈血栓症の緊急検査である本ケースは,下肢はDual Energy Monoenergetic Imageの40keV画像にて静脈のコントラスト分解能を大幅に向上し,同時に胸部についてもDual Energy LungPBVでヨードマップ像を用いて機能評価も行う工夫がなされていました。
Technical
市川勝弘(金沢大学医薬保健研究域保健学系)
受賞ケースは,造影テクニックを駆使した絶妙な撮影タイミングとともに低管電圧撮影を利用してコントラストを向上したことで,総合的にすばらしい画像を提供していました。
Exceeding Expected Performance of 20-64MSCT
平野雅春(東京医科大学内科学第二講座)
CT検査においては,ハイエンドの装置でなくても,性能を最大限引き出せるだけの知識と創意工夫が検者にあれば,ハイエンドの装置に勝るとも劣らない情報が得られます。64MSCTでの撮影では多くの制限がある中で,臨床上必要な情報を的確に描出していた点が評価されました。
Best Overall
今井 裕(東海大学医学部専門診療学系画像診断学)
全部門の応募の中から最優秀賞として選出されました。受賞ケースは,CTやMRIで最も描出が困難な脊髄動静脈瘻で,脊髄動静脈をきちんと分離して描出し,複雑な病態を確実に診断しています。脊髄動静脈の淡い濃染の造影効果を70kVという低管電圧で向上させ,かつ2管球を用いることで線量不足を補い,CTDIvolも通常の腹部検査レベルで非常に明瞭な画像を描出しており,まさにRight Doseというコンセプトに最もふさわしい画像だと思います。