被ばく低減技術の進歩とグローバルスタンダードCTの普及 〜これからの10年に向けて〜 
瀧口 登志夫(キヤノンメディカルシステムズ株式会社 代表取締役社長)

2021-12-24


瀧口 登志夫(キヤノンメディカルシステムズ株式会社 代表取締役社長)

いまだ収まらない新型コロナウイルス感染症の拡大の中,医療を提供し続けていただいていることに感謝申し上げます。今回の「Global Standard CT Symposium」は感染症拡大を防ぐため,完全オンラインにて開催させていただきました。

低被ばくCTの飛躍的進化へ

「Global Standard CT Symposium」は,320列Area Detector CT (ADCT)「Aquilion ONE」をグローバルスタンダードCTとして世界に普及させ,新たに切り開かれる臨床知見を共有いただくとともに,国内CT医療被ばく半減プロジェクトを推進し,その進捗を報告することを主な目的として開催してきました。今回,10回目の節目を迎えることができましたことを,皆さまに厚くお礼申し上げます。
2011年第1回目のシンポジウムにおいて,当時最新技術である逐次近似応用再構成“Adaptive Iterative Dose Reduction 3D(AIDR 3D)”を弊社CTへ標準搭載することをお約束しました。そして,10年が経過した現在,国内で稼働する約1万4000台のCTのうち,50%に相当する約7000台にAIDR 3Dを搭載することができました。今後も引き続き,被ばく低減技術搭載CTの普及を通して,さらなる医療被ばくの低減に努めてまいります。

“Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)”による被ばく低減

キヤノンメディカルシステムズは,AI技術開発の第1弾としてDeep Learning ReconstructionであるAiCEを製品化し,CTをはじめ,MRI,PET-CTへの搭載を進めています。AiCEは画像ノイズを低減する技術で,これまでの被ばく低減技術の課題となっていた被ばく低減と画質のバランスにおいて,新しい効果を発揮しています。現在,AiCEは80列160スライスCT以上の機種に搭載が可能となり(図1),臨床で広く活用されつつあります。
2014年の本シンポジウムにおいて,当時普及が進みつつあったAIDR 3Dによる主な部位ごとの被ばく線量(DLP)の平均低減率を報告しました。そこで今回,AiCEを導入している27施設について同様の調査を行ったところ,AiCEの線量低減率は,AIDR 3Dの約2倍であるとの結果が得られました(図2)。現在,国内においてはAiCEの導入が急速に進んでいます。引き続き,その効果を確認し,報告していきたいと考えています。
今後とも,新しい臨床応用とさらなる被ばく低減を可能とする技術開発に取り組むことでグローバルスタンダードCTとしてのさらなる進化を果たすべく,引き続きAquilion ONEの開発を進めて参ります。

図1 ‌AiCE搭載CT装置のラインナップ

図1 ‌AiCE搭載CT装置のラインナップ

 

図2 AIDR 3DとAiCEの被ばく線量(DLP)平均低減率

図2 AIDR 3DとAiCEの被ばく線量(DLP)平均低減率

 

*AiCEは画像再構成処理の設計段階でAI 技術を用いており,本システム自体に自己学習機能は有しておりません。

一般的名称:全身用X線CT診断装置
販売名:CTスキャナ Aquilion Precision TSX-304A
認証番号:228ACBZX00019000

一般的名称:全身用X線CT診断装置
販売名:CTスキャナ Aquilion ONE
TSX-306A
認証番号:301ADBZX00028000

一般的名称:全身用X線CT診断装置
販売名:CTスキャナ Aquilion Exceed LB TSX-202A
認証番号:302ACBZX00024000

一般的名称:全身用X線CT診断装置
販売名:CTスキャナ Aquilion Prime SP TSX-303B
認証番号:229ACBZX00012000

一般的名称:全身用X線CT診断装置
販売名:CTスキャナ Aquilion Lightning TSX-036A
認証番号:228ABBZX00118000


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