キヤノンメディカルシステムズ社製3T MRIの最新アプリケーションガイド
2017年6月
State of the Art Applications for NCE(Non-contrast Enhanced)
1スキャンで血行動態観察
mASTAR
mASTARは、ASL法を応用した4D-MRAの技術で、一度のスキャンで多時相を収集できる特長を持ち、従来よりも短い時間での動態観察を可能にします。また、mASTARでは多時相を収集するため、血流速度に依存しない血管描出が可能です。つまり、患者さんに依存しない検査が行えます。
金属アーチファクトに強い4D-MRA
mUTE 4D-MRA
mUTE 4D-MRAは、従来TOF法で問題であった金属アーチファクトに強いだけでなく、一度の撮像で動態観察をも可能とする最新のMRA撮像法です。また、静音シーケンス“mUTE※”を収集に用いるため、撮像音を最大99%カットした静かな環境で患者さんが検査を受けられます。
※mUTE:minimized acoustic noise utilizing UTE
選択的な血管描出
Time-SLIP
Time-SLIP法は、血液を内因性造影剤に見立てるSpin Labeling手法を用いることで、血管の選択的描出が可能なMRA撮像法です。非造影によるさまざまな血管の選択的な描出や動静脈分離が可能です。また、脳脊髄液をラベリング対象とすることで、生理的な脳脊髄液の流れを可視化できます。
分枝レベルの微細な血管描出
eFSBB
eFSBB法は、T2*強調画像をベースにしたMRAであり、このベーシックな画像にMPGパルスを加えて血流信号のde-phase効果を促進させ、さらなる血管描出能の向上を実現しています。特に低速の“flow”を高感度に描出する特長があり、de-phase効果の度合いも変更可能です。これにより、深部静脈を明瞭に描出できます。
血管形態と血栓の同時描出
HOP-MRA
HOP-MRAは、TOF法での動脈信号とFSBB元画像の血管信号の組み合わせにより、末梢動脈の描出能を向上させる撮像法です。また、プラークや血栓がFSBBで高信号に描出されることを利用し、血管の形態とプラークや血栓を同時に描出可能です。
動脈と静脈の分離撮像
Flow-Spoiled FBI
Flow-Spoiled FBIは、造影剤を使わずに動脈と静脈を分けて描出できる血管撮像法です。四肢の末梢血管まで鮮明に描出でき、全下肢血管の広範囲な撮像も可能です。また、撮像操作のアシスト機能“DelayTracker™”により、撮像条件の設定にかかる手間を大幅に短縮できるため、全下肢血管検査を短時間で効率よく実施できます。
ロバスト性が高く正確なパラメータ推定
Bayesian
パラメータ推定のアルゴリズム“Bayesian”を、医用画像解析分野で初めて製品搭載しました。SNRが低い元画像でも、真値との誤差が非常に小さく、より正確な解析結果を提供できます。従来の線形フィッティング法と比較して、ロバスト性が高く正確なパラメータ推定が可能です。
非造影Perfusionの定量化
ASL
ASL-Perfusion法により、非造影で撮像された画像から局所血流量マップを算出できます。ASL画像(PASL)とプロトン密度画像から脳血流量を算出し、CBFマップ画像を生成します。自動動き補正や、自動バックグラウンド補正を兼ね備えています。
拡散強調画像に含まれる灌流情報の活用
IVIM
拡散強調画像を用いた解析を行うIVIMアプリケーションを搭載しています。異なる複数のb値の画像から、“微小灌流”と“拡散”を推測する解析手法です。拡散モデル(mono-exponential model/bi-exponential model)の選択が可能です。また、マルチbのDWI解析のため、cDWIの計算もできます。